抄録
四肢脱力を主訴として入院した42才の女性で便秘のため長期間下剤を連用し, 時々浮腫出現し利尿剤を服用していた. 食欲不振となり, 次第に体重減少す. 諸検査成績にて低血圧, 低K血症, 代謝性アルカロージス, 血漿レニン活性とアルドステロンはともに高値で, アンギオテンシンIIに対する昇圧反応は低下し, 副腎シンチグラムにて両側副腎過形成を認めた. 腎生検はえられなかつたが神経性食欲不振症にて長期間の下剤の連用, 利尿剤の投与によるPseudo-Bartter症候群と思われる1例を報告し, 併せてBartter症候群の最近の病因, 治療について述べた.