医療
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治療薬剤と悪性腫瘍の発生(II)
―免疫抑制剤と抗癌抗白血病剤―
伊藤 宗元
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1979 年 33 巻 2 号 p. 117-122

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抄録
先の報告では, 放射性物質, 抗生剤, 鎮痛消炎剤, 高圧剤などについての発癌の可能性について考察を行つた. 本報告では, 最近広く用いられてきた免疫抑制剤, 抗癌, 抗白血病剤使用後の二次的悪性腫瘍発生について, 原因疾患, 投与薬剤, 二次的悪性腫瘍の関連について主に文献的に考察を加える.
一般に免疫不全をきたす各疾患は, それだけでも悪性腫瘍が合併しやすく, また, , ある悪性腫瘍では他の悪性腫瘍を合併しやすいとされるが, これら疾患に対し, アルキル剤などの長期投与は, 染色体異常, 細胞のmutant, transformationをきたし, 一層, 二次的発癌を起こしやすい病態となるものと考えられる.
非悪性腫瘍疾患が悪性腫瘍に移行することは臨床的にも重大なことであり, また, 近時悪性腫瘍の化学療法が急激に進歩した反面, 二次的悪性腫瘍発生は, その治療について再検討を要する問題となりつつある.
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© 一般社団法人国立医療学会
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