医療
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33 巻, 2 号
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  • ―免疫抑制剤と抗癌抗白血病剤―
    伊藤 宗元
    1979 年33 巻2 号 p. 117-122
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    先の報告では, 放射性物質, 抗生剤, 鎮痛消炎剤, 高圧剤などについての発癌の可能性について考察を行つた. 本報告では, 最近広く用いられてきた免疫抑制剤, 抗癌, 抗白血病剤使用後の二次的悪性腫瘍発生について, 原因疾患, 投与薬剤, 二次的悪性腫瘍の関連について主に文献的に考察を加える.
    一般に免疫不全をきたす各疾患は, それだけでも悪性腫瘍が合併しやすく, また, , ある悪性腫瘍では他の悪性腫瘍を合併しやすいとされるが, これら疾患に対し, アルキル剤などの長期投与は, 染色体異常, 細胞のmutant, transformationをきたし, 一層, 二次的発癌を起こしやすい病態となるものと考えられる.
    非悪性腫瘍疾患が悪性腫瘍に移行することは臨床的にも重大なことであり, また, 近時悪性腫瘍の化学療法が急激に進歩した反面, 二次的悪性腫瘍発生は, その治療について再検討を要する問題となりつつある.
  • 林谷 誠治, 生田 稔, 松田 修典, 佐藤 秀生, 羽田 良洋, 楠本 五郎, 近藤 雅敏, 桐本 孝次
    1979 年33 巻2 号 p. 123-129
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1972年より1977年までの6年間に子宮肉腫7例を経験した. その内訳は, 平滑筋肉腫4例, 中胚葉性混合腫瘍, ブドウ状肉腫, 癌肉腫各1例で, 同期間の子宮頸癌と体癌の合計に対し2.0%, 子宮筋腫に対し1.3%に相当する.
    年令は31~84才で, 5例が50才以上であり, 4例が未妊または未産婦であった.
    術前に細胞診, 組織診その他で疑診または確診できたのは3例に過ぎない.
    治療としては, 単純子宮全摘兼両側付属器切除と術後Linac照射を原則としたが, 2ヵ月後死亡の1例と1, 2, 5年後健存の各1例を除く3例は, 1年以内の観察中である.
  • ―とくに組織発生について―
    森脇 昭介, 北島 武志, 小島 洋子, 千葉 丈, 久保 喬士, 猪原 照夫
    1979 年33 巻2 号 p. 130-136
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    子宮頸部・体部のad-sqcaはなお独立組織型としての意義は明らかでない. 著者らはad-sqcaの臨床病理学的特異性の有無について検索を行つているが, 今回は主として組織発生について私見を報告した.
    国立松山病院で組織学的に診断した子宮頸癌1953例中66例, 3.4%, 体癌69例中26例, 37.7%にad-sqcaを認めた. ad-sq caを組織学的に3型に分類した. I型・混合型は46例66.7%, 平均年令55.9才, II型・分離型は11例, 16.7%, 46.1才, III型・上皮内癌型9例, 13.6%, 47.6才となる. 体癌のad-sq caはすべて1型で, 平均年令58.2才, 腺癌57.9才と差がない. 頸部I型の腺癌中の比は44.7%となり, 年令, 頻度, 化生様式は体癌のそれと類似し, 1型が狭義のad-sq caと解した. 化生形成を非癌材料と比較し, 非連続, 未熟型化生と類似を求めることができる. 今後治療や予後との関係から検討したい.
  • 渋谷 治男, 中村 豊, 室伏 君士
    1979 年33 巻2 号 p. 137-142
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    老年精神分裂病者について, 症伏の変化を病初, 最盛期と比較検討し, その特性と処遇上の問題点を考えた. 対象は(1)高令発病群, (2)慢性分裂病群, (3)精神外科手術を受けた群, (4)脳器質性障害の関与の明らかな群の4群, 計18例で平均67.7才, 平均経過年数は29.8年, 男女各10, 8例.各群を通じ高令化に伴い比較的消退した症状は頑固な閉居, 拒絶, 粗暴な振舞など行動面に関するもの, 児戯性, 空笑, 眉ひそめ, 易怒性など感情に関するもの, 関係・注察・追跡・嫉妬妄想, 街奇性, 歪んだ言語, 滅裂思考などで, これに反し残存するものは単純化し, かつ弛緩した幻覚, 被害・誇大妄想, 邪推的態度, 表面的・通俗的に変化した接触性, 自閉や孤立, 受動的, 依存的な意欲面などである.これらをとおしてPraecoxgefühlの減少, 感情・行動面の平坦化, 病的体験への距離をおいた態度, 受動的ながら集団生活など現実への再適応の傾向が指摘される. これらと対比して非分裂病群の特性が検討されたが(3)及び(4)群の分裂病者では, これら器質性疾患にみられる変化により病像が付加・修飾されている.
  • 田中 潔, 柏木 徹, 田中 雄三, 中沢 和嘉, 久田 研二, 与儀 英明
    1979 年33 巻2 号 p. 143-150
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー

    入院中の精神分裂病者で, 急性症状が軽快した患者のうち, 就寝前薬として抗精神病薬とニトラゼパムが併用されているものに対して, ニトラゼパムとinactive placeboによる二重盲検cross-over法(14日間)で, 患者の自覚的体験(質問紙法)をもとに睡眠状況を検討した. その結果, 対象者33名(平均年令34.2才, 平均罹病期間9年3ヵ月, 今回平均入院期間2年8カ月)のうち, 変化群(実薬とplaceboで優劣の差がみられたもの)16名(48.5%), 不変群(両薬剤間に差がみられなかつたもの)16名(48.5%), 脱落1名(5日間で脱落したがその間placebo)であつた. 変化群16名のうち, 実薬の方が有効なもの15名(93.8%)であつた. 変化群に関与する要因として, 有意差はみられなかつたが, 入院期間の長いものに変化群が多い傾向があつた. またPlacebo不眠が生じる場合は, 3日目ころが多く, 1~2日間はPlacebo効果が認められた.
  • ―分裂病患者の早期通院医療による社会復帰に関する研究―
    清水 英利
    1979 年33 巻2 号 p. 151-156
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    私は早期通院医療による社会復帰を目的として, 分裂病患者を入院させないで通院医療のみで経過をみた. 昭和52年4月現在, 社会復帰できたものが12名あり, うち就職9名, 家業従事2名, 家業手伝い1名で, すべて健康人なみの就労条件で働いていた. 社会復帰できた諸要因としては, 1) 早期受診2) 定期通院と服薬持続3) 家族の協力4) 通院により職場や家庭で地位低下がない5) 病前に就労経験と定職がある6) 人格障害が少なく措置症状がない7) 医師と患者・家族関係が親密であるなど.
    再燃の誘因には服薬中断, 通院中断が多く, 再燃時初発症状は不眠, 幻聴が多かつた.
    早期治療の方法には環境調整, 精神療法的働きかけ, 向精神薬内服増量, 持続性向精神薬注射併用などアフターケアの場合と同様な方法で社会生活を維持させることができた.
  • 松本 昭久, 久世 彰彦
    1979 年33 巻2 号 p. 157-159
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    重症筋無力症における神経・筋伝達障害を明らかにする目的で, 14名の筋無力症患者および対照としての7名の正常人から微小終板電位を細胞外記録により導出した.
    その結果筋無力症患者では, 神経終末でのアセチルコリン小胞内のアセチルコリン容量を反映すると考えられる微小終板電位の振幅値が正常人におけるのと同様の30~35μVの値を示す群と, より低い15~20μVの値を示す群の2群に分けられることが明らかとなつた. また微小終板電位の持続時間, あるいは発射頻度には筋無力症患者と正常人の間で有意の差は認められなかつた.
  • 松岡 寿夫, 宮川 兜, 大久保 清一郎, 金 城浩
    1979 年33 巻2 号 p. 160-165
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    6年間に十二指腸潰瘍に対して行われた胃切除術46例, 迷切兼幽門洞切除術24例, 迷切兼ドレナージ術35例について比較検討し, 更に迷切術の手術手技について述べた.
    手術手技は選択的近位迷切術, 選迷切術ともにCrow's Footを目安にし, 小轡側にそつて上向性に前壁, 後壁をそれぞれ神経, 血管を含めて筋層まで剥離した.
    迷切兼ドレナージ術は再発率11.4%, ダンピング症状28.6%と高値を示す.また減酸率, 臨床成績Visick grade I+IIでは迷切兼幽門洞切除術に比べて統計的に有意の差あり劣るが, 胃切除術とは差がなく, 安全である.
    再発率の高い原因は, 大半が不完全迷切, ドレナージ不良の手技的な失敗によるもので, 迷切術の熟達が大切である.
  • 三村 久, 村山 正毅, 大野 靖彦
    1979 年33 巻2 号 p. 166-174
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    厚生省特定疾患研究の一つとして, 特発性門脈圧亢進症の調査研究が1975年から3年間行われ, 当院はその班員として参加したのを機会に, 全国々立病院における門脈圧亢進症患者取扱いの実態を調査した.
    1975年から1977年の3年間に全国々立病院で取扱つた門脈圧亢進症患者は肝硬変性のものは年間約150~200例, 非肝硬変性のものが年間約20~40例であつたが, このうち詳細な回答が得られた外科症例(肝硬変例246例, 非肝硬変例81例)について検討した.
    これら症例について手術適応(緊急, 待機), 手術方法, 治療効果, 合併症, 予後などについて, 調査し, 厚生省研究班の作成した本症の治療指針と対比して, 本症治療の目標である食道静脈瘤および脾腫に対する治療方法の現況と問題点について論じた.
  • 榎本 尚美, 山下 九三夫, 山崎 祐, 佐伯 修二, 福岡 俊一, 久家 輝義, 山田 満
    1979 年33 巻2 号 p. 175-186
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    本邦においては従来麻酔の統計が少なく, WHOなど国外よりの問合せに対しても十分な回答を与えることが困難であつた. そのような観点より国立病院麻酔共同研究班においては全身麻酔の統計調査を企画し, 特に正確迅速という点から電子計算機を用いることを試み, 5年間の成績を得たので報告する.
    本邦標準的規模の国立病院6施設における5年間の全身麻酔例数は22071例であるが, 年とともに時間を要する麻酔症例の増加が著しく, 麻酔科医負担の様相が数量的に判然とした.現在用いられている吸入麻酔剤は笑気とfluothaneが主で, 筋弛緩剤はsuccinylcholineとpancuroniumが繁用されている. また輸液剤には乳酸Ringer液が好んで用いられる. 麻薬の使用は減少の傾向にある.
  • 小林 卓郎
    1979 年33 巻2 号 p. 187-190
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    再発性の顔面神経麻痺と顔面腫脹を呈するMelkersson症候群の57才男子例を経験した. 他の神経症状としては涙の減少, 鼻腔内の乾燥, 唾液の減少など第VII脳神経の自律神経障害および味覚障害, 聴覚過敏を呈した. したがつて本症例の病変部位は膝神経節と考えられる. このようにMel kersson症候群において自律神経や感覚障害を呈することは希で文献上ほとんど記載を見ない. またこのように病変部位が明らかな症例は少ない. 本症例の原因疾患を検索したが不明であり, ウイルス学的検索も異常がなかつた.
  • 森本 鎮義, 三軒 久義, 藤永 卓治, 北川 道夫
    1979 年33 巻2 号 p. 191-195
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近著者らは2例の尿管異所開口症例を経験し, 手術的に治癒せしめえたのでここに報告し, 文献的考察を加える. 第1例は, Thom分類III型で, 過剰尿管の異所開口であつたため, 診断が困難であつた症例である. 第2例は, Thom分類I型で, 尿管膀胱新吻合術をおこなつた症例である. いずれの症例も, 尿失禁を主訴として来院したが, これらは生来発症していたものではなく, ことに第1例では, 間歇的におこる尿失禁であつた. 非典型的な臨床症状を有する症例の場合には, 尿管異所開口の存在を常に念頭におかなければ, その診断にはかなりの困難のあることが痛感される.
  • 永田 憲男, 鈴木 明, 手塚 正義, 神谷 斉, 井上 正和, 内田 幸憲
    1979 年33 巻2 号 p. 196-199
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    溶連菌感染症の診断には, 菌検索に加え, 血清学的検査としてASOやASKの測定がルーチン検査として行われているが, これらの検査のみでは不十分であるといわれてきた. 今回我々は5種の溶連菌産生抗原を血球に感作したStreptzyme Test(以下「SZ」と略す)を使用し, ASO. ASKと比較検討し, 若干の知見を得たので報告する.
    前記3者を比較した場合, SZが一番高値を示した. 次に個々について見るとASO≦128uの症例中SZ陽性が226%あり, ASO≦192uの症例では, SZはすべて陽性であつた. またASK≦640倍の症例中SZ陽性が10%あり, ASK≦1280倍の症例ではSZ陽性が95.8%であつた.
    ASO, ASKのいずれか一方が陽性であれば96%の一致率でSZは陽性であつた.
    以上のことからSZは溶連菌感染症のスクリーニングテストとして有意義な検査法であるとの確信を得た.
  • 赤澤 好温, 小出 操子
    1979 年33 巻2 号 p. 200-206
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    西ドイツにおいて開発されたα-Amylase Inhibitor(BAY e 4609)及びα-Amylase. Sucrase. Maltoseを抑制するα-Glucosidase Inhibitor(BAY g 5421)を食事療法中の糖尿病患者に応用し, 血糖インスリン, 脂質, 体重について検討した結果, 糖尿病の食事療法の補助剤として有用である結果を得たので報告する. 1) BAY e 4609: 9人の成人型糖尿病患者で最低2週間食事療法後, 本剤を1~15週間, 1.5 Mega AIUを含む散剤を1日3回に分け, 食事中米飯にふりかけて用いた. 体重減少が9人中8人に認めた. 空腹時血糖は9例中7例に減少しインスリン分泌は長期投与群で改善傾向を示した. 2) BAY g 5421: 1錠100mg含有の錠剤で各食直前に1錠宛服用させた1日量300mg投与群は, 男9例, 女5例, 平均年令58才, 投与期間は平均55日であり, 1日量600mg服用群は各食直前に2錠200mgを服用させた投与症例は男6例, 女4例で平均年令63才, 投与期間平均125日であつた. 各群について投与前後の体重, コレステロール, 中性脂肪, 100g GTT, IRI, CPR, FFAを測定した. 各群共体重減少, GTTの改善傾向を認めたが, 300mg投与群に比し600mg投与群において, 体重減少, GTT改善, IRIの増加が有意に認められた. 自覚的に腹部膨満, 腸ガスの増加, 便通の回数増加の症例が若干あつたが著明な副作用はなかつた.
  • 井田 時雄, 北島 直登
    1979 年33 巻2 号 p. 207-211
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和52年度国立熱海病院泌尿器科における外来, 入院および手術術式の統計的観察を報告した.
    外来新患者数は1,429名で, 男子801名, 女子628名, 性別比は1. 3:1で男子に多かつた. 男子外来患者の主要疾患は前立腺肥大症, 尿路結石症であり, 女子外来患者の主要疾患としては非結核性膀胱炎が圧倒的に多かつた.
    入院患者数は217名で男子176名, 女子41名, 性別比4. 3:1で男子に多い.主要疾患としては前立腺腫瘍, 尿路結石症, 膀胱腫瘍の順に多かつた.
    手術は253回に施行した. 主な手術術式としては, 腎摘出術16例, 恥骨後式前立腺摘出術24例, 経尿道的前立腺切除術28例などが挙げられる.
  • 寺井 武寿, 横谷 邦彦, 中武 稔, 小原 弘, 長嶺 慎一, 山内 陽一
    1979 年33 巻2 号 p. 212-215
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近10年間(1968-1977)に国立姫路病院外科へ入院した胃癌患者を集計すると, 早期胃癌患者は増加し胃癌治療の進歩が認められる. しかし, 切除不能胃癌患者は減少せず大きな課題である. 全国の病院でも同じような傾向が認められる. 切除不能胃癌患者を分析すれば, 自覚症状, 体重減少, 貧血, 糞便潜血反応, 腫瘤触知などの簡単な検査で胃癌が十分疑われる. 自覚症状の発現時, あるいは医療機関受診日から入院までの期間をみても, 切除不能になるまでに一定の期間があり, この期間に適切な治療が行われていない. この責任は患者, 医師共にあり, 早期発見, 早期治療は, なお強調する必要がある. 自覚症状があればすぐに専門家の胃X線検査, 胃内視鏡検査を受けさせ, 早期治療を行わなければならない.
  • 2.膵外分泌機能検査(パンクレオザイミン・セクレチン試験)
    吉森 正喜, 中村 耕三
    1979 年33 巻2 号 p. 216-217
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1979 年33 巻2 号 p. 218-220
    発行日: 1979/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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