抄録
入院中の精神分裂病者で, 急性症状が軽快した患者のうち, 就寝前薬として抗精神病薬とニトラゼパムが併用されているものに対して, ニトラゼパムとinactive placeboによる二重盲検cross-over法(14日間)で, 患者の自覚的体験(質問紙法)をもとに睡眠状況を検討した. その結果, 対象者33名(平均年令34.2才, 平均罹病期間9年3ヵ月, 今回平均入院期間2年8カ月)のうち, 変化群(実薬とplaceboで優劣の差がみられたもの)16名(48.5%), 不変群(両薬剤間に差がみられなかつたもの)16名(48.5%), 脱落1名(5日間で脱落したがその間placebo)であつた. 変化群16名のうち, 実薬の方が有効なもの15名(93.8%)であつた. 変化群に関与する要因として, 有意差はみられなかつたが, 入院期間の長いものに変化群が多い傾向があつた. またPlacebo不眠が生じる場合は, 3日目ころが多く, 1~2日間はPlacebo効果が認められた.