抄録
私は早期通院医療による社会復帰を目的として, 分裂病患者を入院させないで通院医療のみで経過をみた. 昭和52年4月現在, 社会復帰できたものが12名あり, うち就職9名, 家業従事2名, 家業手伝い1名で, すべて健康人なみの就労条件で働いていた. 社会復帰できた諸要因としては, 1) 早期受診2) 定期通院と服薬持続3) 家族の協力4) 通院により職場や家庭で地位低下がない5) 病前に就労経験と定職がある6) 人格障害が少なく措置症状がない7) 医師と患者・家族関係が親密であるなど.
再燃の誘因には服薬中断, 通院中断が多く, 再燃時初発症状は不眠, 幻聴が多かつた.
早期治療の方法には環境調整, 精神療法的働きかけ, 向精神薬内服増量, 持続性向精神薬注射併用などアフターケアの場合と同様な方法で社会生活を維持させることができた.