医療
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免疫溶血性貧血(IgM+C型)の1例
井原 義行近藤 渓水口 豊山田 正一西村 進長岡 久雄朝山 均福井 一彦鍋島 尋文木船 雅一佐藤 清加来 正史川原 浩一横張 龍一
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1979 年 33 巻 8 号 p. 779-785

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抄録
76才, 婦人に見られた免疫溶血性貧血症例を報告した. 最祖近医により血清総ビリルビン2.3mg/dl, 直接ビリルビン0.3mg/dlが注目されて当院に紹介された. 入院当初寒冷凝集素価が256倍であつたが漸次正常となつた. 入院時,赤血球数227×104, 白血球数2200, 血小板数4.9×104であり, 骨髄像では正赤芽球の増殖が認められた. 赤血球滲透圧抵抗の軽度減弱を認め, 赤血球寿命T1/2は18日であつた. ルチンクームス試験では直接, 間接共に陰性であるが, 4℃では両者に弱陽性を認める. 抗グロブリン試験, 抗C3試験では抗人全血清, 抗IgG血清, 抗IgA血清, 抗IgM血清及び抗C3血清との反応を検討したが, 抗全血清, 抗IgM及び抗C3血清で直接試験陽性であり, 抗IgM血清で最も強い. 本例はAIHA, IgM+Cと考えられた. 諸種薬物療法により著効は得られていない. なお末梢血網状球は300‰であつた.
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