医療
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腹壁巨大血腫を主訴とした原発性寒冷凝集素症の1例
今井 道代中山 仁日野 理彦福井谷 祐一川戸 正文伊藤 宗元
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1979 年 33 巻 8 号 p. 786-789

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抄録
原発性寒冷凝集素症は, 比較的頻度の少ない疾患であり, 本邦では, 我々が文献上調べ得た限りでは, 15例を数えるに過ぎない. 最近我々は, 77才の男性で, 腹壁の巨大血腫を主訴とする原発性寒冷凝集素症の1例を経験した.
本症例の寒冷凝集素価は著しく高値であつたが, 溶血は軽微であつた. またその抗赤血球自己抗体は, IgMで補体結合性があり, 抗I特異性を示した. 主訴としてみられた腹壁の血腫は, 寒冷曝露時の赤血球凝集により生ずるものと考えられるが, 本邦報告例15例をみるに, このような血腫形成を来した症例は全くなかつた. 治療としては, 副腎皮質ホルモン, melphalanその他の有効例が報告されているが, 本症例においては, これらの治療効果は明らかでなかつた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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