医療
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術前の微量モルフイン硬膜外腔投与による術後の疼痛管理
小林 敏信南 ちひろ柴田 正俊石井 奏
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1982 年 36 巻 11 号 p. 1111-1115

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抄録
NLA原法, NLA変法及びGOF麻酔に2mg又は3mgのモルフインを生食水10mlに希釈して注入し術後落痛発現までの時間と鎮痛薬初回使用までの時間を調べた. また術前, 術後に動脈血ガス分析を行いPaCO2の変動を調べた. その結果モルフイン使用による鎮痛効果は非使用群と比べて明らかに優れていた. モルフイン使用量3mg群では2mg群よりも術直後の鎮痛効果及び術後24時間以上にわたる鎮痛効果が優れていた. モルフイン投与により術後PaCO2は有意に上昇したが臨床的に呼吸抑制症状の現われたものは希であつた.
NLA変法におけるモルフインの鎮痛効果はNLA原法に比べ明らかに劣るがPaCO2の上昇はNLA原法に比べ大差なかつた.
以上よりNLA原法に2mgの硬麻モルフィン注入を併用することにより十分な鎮痛効果が得られ, かつ呼吸抑制は最小限度に抑えることができると思われる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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