医療
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左手前腕外シヤントで慢性透析を開始, 同手で8年以上の使用経験
則井 崇長田 高寿瀬崎 達雄
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1982 年 36 巻 12 号 p. 1195-1198

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抄録
慢性腎不全患者に対する長期透析治療に際し, シヤントの長期開存とその合併症の防止は重要な問題である. 症例38才女性. 1973年5月12日尿毒症性心不全で入院. 直ちにPDを開始. 5月21日左手前腕に外シヤントを作成してHDに導入した. 外シヤントは合併症が多く, その寿命が短いこととされ5~10年の長期透析を目ざす上で最大の隘路である. 1人の医師が管理責任を持ち8年9ヵ月の間に動静脈6回の外シヤントを同手に再設置した. 動脈側外シヤント平均開存期間25.1ヵ月, 静脈側平均開存期間27.3ヵ月であつた. 日常の感染の防止と同時に、血流速度が遅くなつたことを示唆する徴候が見られたら, 抗凝固剤の投与, シヤント洗浄を行いぎりぎりまで外シヤントを使用して再造設を血管外科医に依頼している. 一側の血管を最大限に利用し尽して患者の延命を計つている.
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© 一般社団法人国立医療学会
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