医療
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グロビン血症を伴う急性腎不全で発症した全身性エリテマトーデスの1例
林田 康明鈴木 民子西海 正彦猪 芳亮中村 公一竹内 広
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1982 年 36 巻 12 号 p. 1199-1204

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抄録
症例は24才男子, 昭和54年12月上旬糸球体腎炎様の症状で発症し, 同月25日に発熱および下腿筋肉痛を主訴に当院内科に入院した. 諸症状及び検査成績は, SLE急性腎不全を示唆し, さらに血中および尿中のミオグロビンが高値を示した. ステロイド投与, 血液透析により症状改善BUN, クレアチニンも正常化したが第40病日肺炎を併発, 第72病日種々の抗生剤投与も効なく死亡した. 剖検上腎はMCGN型のループス腎炎の像を呈していた.
経過中我々は腎不全の原因として, ループス腎炎と高ミオグロビン血症性の急性尿細管壊死の関与を疑つた. 結果的に本例の糸球体病変はループス腎炎中まれで, かつ最も強い変化であるMCGN型で腎不全を引きおこすに十分な変化であり, ATNの存在を関連づける必要はないように思われた. しかしいずれに原因を求めても極めて希で, 貴重な1症例と思われたので, 多少の文献的考察を加えここに報告した.
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