医療
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肺硬化性血管腫の臨床病理学的検討
木村 荘一久保 秋夫森田 敬知稲垣 敬三荒井 他嘉司平田 正信松田 美彦鈴木 俊光大谷 直史鈴木 恒雄田島 洋江口 辰哉
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1982 年 36 巻 12 号 p. 1212-1216

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抄録
我々の施設において昭和48年以来9年間に切除した肺腫瘍は263例で, うち良性腫瘍は16例(6%)である. 良性腫瘍のうち, 肺硬化性血管腫は5例あり, それらにつき臨床病理学的に検討した. 症例は全例女性で, 30才代2例, 60才代3例に認められ, 全例無症状であつた. X線像としては本腫瘍に特徴的な所見が認められるが, X線上の診断は疑診の域を出ないし, 確定診断をつける意味からも外科的に処置を加える必要がある. その際には肺良性腫瘍の手術の原則として肺機能温存が心がけられた方法がとられるべきである. 又2例に電顕にて検討を加えたが, 本腫瘍の増殖細胞はII型肺胞上皮細胞由来を考えられ, 本腫瘍の本態は肺実質構成成分の量的異常あるいは分化過程の異常により腫瘍を形成した, 肺末梢発生の過誤腫を考えさせるものであつた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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