医療
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腹部臓器における画像ノイズの検討
花井 耕造速水 昭雄片山 二三夫
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1982 年 36 巻 2 号 p. 143-147

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抄録
目的: 生体計測システムとしてのCTにおいて, 低コントラスト部位, すなわち非常に吸収係数: μ値の近似した組織間の識別には, 画像ノイズが最も重要な要素であることを考え, この画像ノイズを左右する因子に関する検討を行い, 腹部臓器におけるCTの再構成画像のノイズ量の限界を求めた
結論: 腹部臓器におけるCTの診断は, 辺縁の診断学, 及び内部構造の診断学を合わせもつた質的診断の方向に向かつている. しかし, 肝, 膵のような低コントラスト臓器においては, 病的部位と正常部位の吸収係数の差は数%程度であり, 画像ノイズが, その診断に際し重要な障害となる. さらに被検体サイズの大きさより, 大きな撮影領域を選択せざるを得ない. これらのことを考え合せ, ノイズ量は, 撮影領域350mmφにおいて, 1%σw以下にすべきである. 腹部臓器におけるCTの画像ノイズの管理は, 特に重要である. ノイズ量の改善としては, 1)補正水データの収集の条件, 2)プロジエクシヨン数の増加, 3)検出器素子数の増加によるノイズ量の各ピクセルへの分散, 粒状像の低下, 4)診断目的に合つた必要線量の確保, そのための管球の大容量化が必要である.
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© 一般社団法人国立医療学会
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