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肺結核による肺性心死の背景因子と臨床症状について
東村 道雄後藤 純規
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キーワード: 肺結核, 肺性心
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1983 年 37 巻 11 号 p. 1103-1107

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抄録

肺性心のために死亡した肺結核患者10名の背景因子及び臨床症状を調査し, 次の結論を得た. 10例に共通する背景因子は次のごとくであつた. これらは, 肺性心死の可能性を示す条件と思われる. (1)平均年令55.6±10.7, (2)肺結核発病後10年以上経過, (3)肺病変の範囲が全肺野の1/2以上に及ぶ. (4)右心肥大を示す心電図. (5)%肺活量50%以下. 肺性心死を予告する重要な前兆は次の2つであると思われた. (1)安静時脈拍数が持続的に90/分以上となる. (2)他覚的または自覚的な顔面浮腫. 特に安静時の脈拍数90以上の症状は顔面浮腫に先行し, 危険を予知する重要な症状と思われた. また, この時点で, 利尿剤, ジギタリス剤で治療を行うことが患者の延命に重要であると思われた.

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