医療
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MRによる子宮体癌の診断
加来 隆一箕浦 茂樹花岡 収一香山 永樹佐藤 孝田渕 徹我妻 尭
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1983 年 37 巻 4 号 p. 413-416

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抄録
初期の人工妊娠中絶を外来でも無麻酔で施行できるMenstrual Regulation(MR)法を, 子宮体癌の診断に応用した. 本法は子宮内膜吸引法とも呼ばれ, 4~6mmのプラスチツクカニユーラを子宮腔内へ挿入し, 吸引, 掻爬できるものである. 対象は昭和53年1月よりの3年間に当院外来を受診した356例である. 平均年令は45.6才で, このうち閉経例が89例(25%)であつた. MR法の結果は, 頸管部が固く挿入不能であつたものが8例(2.2%), 標本採取量が少なく診断不能であつたものが9例(2.5%)で, 全体では95.3%に満足な組織診の結果を得た. 337例中, 12例の子宮体癌と8例のAdenomatous hyperplasiaが発見された. 副作用は出血と疼痛が主体であつたが重篤なものはなかつた. MR法は所要時間1~2分で, 麻酔なしに子宮内膜の全面掻爬ができるため, 煩雑な外来でのマス・スクリーニングに極めて適している.
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© 一般社団法人国立医療学会
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