抄録
64才, 男性, 胃集検で前庭部異常を指摘され精査のため受診した. 胃二重造影で前庭部小轡に胃外側からの圧排像を認め, 内視鏡では前庭部小攣後壁に粘膜下の隆起がみられた. 腹腔動脈造影, ERCPで異常を認めず, CTでは胃前庭部後壁と連続性をもつた円形のlow densityを認め, 胃粘膜下腫瘍と診断し手術を行つた. 腫瘤は前庭部小轡後壁寄りにあり, 所属リンパ節の腫脹も認めないため, 一部胃粘膜を含めて腫瘤摘出を行つた. 大きさは5×5×4cmで大部分が充実性で一部多房性cystがあつた.組織所見は円形および多角形の腫瘍細胞からなり, 胞体は酸好性で核周囲に空胞状の淡明部があるLeiomyoblastomaであつた.臨床的には一般に予後良好とされているが, まれに転移, 再発例も報告されている. 本邦では62例報告されており, それら症例の分析を行い, その臨床症状, 発生部位, 病理学的問題などについて若干の文献的考察を加え報告した.