医療
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37 巻, 4 号
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  • 藤井 昌史
    1983 年 37 巻 4 号 p. 337-342
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    癌の非特異的免疫療法は宿主の免疫機能を非特異的に亢進させ, 癌に対する抵抗性を増強することを目的としているが, これまでは十分な科学的根拠なくして臨床応用されてきた. 免疫アジユバントの作用機作と作用点についてはいまだ不明な点が多く, 代表的な免疫アジユバントであるBCG, OK-432, Corynebacterium parvum, レバミゾール, PSK, レンチナンについても, 個々の実験システムによつて得られた成績を述べるにとどまつているところが多い. BCG, OK-432などはマクロフアージの活性化を出発点とし, T細胞の機能亢進へと進め, PSK, レンチナンなどは担癌宿主の低下したT細胞やマクロフアージの機能を回復させる働きを示すことが知られている. 今後, これらの免疫アジユバントについてさらに基礎的研究を重ね, 非特異的免疫療法の真の意義を明らかにする必要がある.
  • 東村 道雄
    1983 年 37 巻 4 号 p. 343-351
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    比較的まれな感染症であるMycobacterium fortuitumによる感染症に関する1981年までの報告文献を紹介した. 本症はまれであるとはいえ, 最近報告が増加の傾向にある. 注意をすれば更に多くの症例が見つかると思われる. 肺感染症については, 肺結核, 塵肺, 巨大食道の既往歴が発症に関係した症例がかなりある. 膿瘍の原因としては頻々医原性のものがあげられる(注射, 手術に続発した例が多い). また, 外傷も誘因となる.
  • 東村 道雄
    1983 年 37 巻 4 号 p. 352-358
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Mycobacterium cheloneiによる感染症の文献を展望した. 日本では肺感染症は15例報告されているが, 肺外感染症については報告がない. 外科医がこの感染症に関心を持つことが望まれる. 外国には肺外感染症の報告が多数ある, M. cheloneiは頻々注射後の膿瘍, 手術後の化膿の原因となつている. 時に集団的に発生することがあるので注意を要する.
  • 内山 芳朗, 栄井 清, 三橋 修, 松本 明久, 丸尾 泰則
    1983 年 37 巻 4 号 p. 359-363
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Procainamide (PA)及び代謝産物N-acetyl procainamide(NAPA)は, 血中濃度と抗不整脈効果との間に密接な関係のあることが知られている. 今回我々は, (1)健康人においてPA投与後, PAおよびNAPAの血清濃度と唾液中濃度との相関, (2)心室性期外収縮(PVC)を有する患者についてPA血清濃度と抗不整脈効果との関係について検討した. 健康人には, PA錠を500mg経口投与し, 経時的に血液及び唾液を採取し, 患者については, 心電図を記録しながらPA注射液を静脈内投与し経時的に採血を行い, PA及びNAPAを蛍光法を用いて測定した. (1)血清濃度と唾液中濃度比は, 唾液中濃度の方がPA,NAPAともに血清濃度より約2倍の高値を示した. PA及びNAPAの血清濃度は唾液中濃度と有意の正相関を示した. (2)PVCの%減少率と血清PA濃度との間に有意な相関関係が認められた.
  • 田村 偉久夫, 金藤 英二, 土江 秀明, 島瀬 公一, 栗村 統
    1983 年 37 巻 4 号 p. 365-370
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    癌患者血清による培養細胞の増殖の影響を調べた結果, FL-Y(人羊膜株化細胞)の増殖は抑制するが, CV-1(アフリカミドリザル腎株化細胞)の増殖は抑制しない患者血清を見つけた. その患者にはIFN-αを投与していることから, IFN-αと細胞増殖抑制因子の同一性を検討した.
    1)その患者血清は, CV-1の増殖を抑制しないが, FL-Yの増殖は抑制した.
    2)IFN-αは, FL-YよりCV-1の増殖をよく抑制した.
    3)その患者血清の増殖抑制活性は, -85℃で62日間保存後, かなり失活した.
    その患者には, IFN-α以外の細胞増殖を抑制する薬剤を投与していないことから, その患者血清中に未知増殖抑制因子が存在することが示唆された.
  • 佐藤 勇, 松井 史郎, 黒沼 忠由樹
    1983 年 37 巻 4 号 p. 371-374
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    糖蛋白の一つであるfibronectin (FN)は, 各種疾病との関連が注目されているが, 臨床面ではあまり利用されていないのが現状である. その一つの理由として測定方法が一般化していないことが原因であると思われる. 今回我々はHyland社製レーザーネフエロメーターを使用, 血漿FNを測定する機会を得, 標準曲線, 再現性, 従来法の一つであるSingle Radial Immunodiffusion法との相関などを検討した. 標準曲線は(n=8)でそのCVは1~2%の範囲で良好な成績を得た. 再現性(n=5)で高濃度(x=106.6%, CV=5.2%), 中濃度(x=54.2%, CV=2.7%), 低濃度(x=27.7%, CV=4.3%)であつた. 従来法との相関はr=0.969(P<0.01)と有意な相関性が認められた. 本法は少量の抗血清で測定でき, 感度も高く迅速に多数の検体を測定出来, 日常検査として十分活用出来る検査法と思われた.
  • 小池 聡之, 川上 登史, 高嶋 成光
    1983 年 37 巻 4 号 p. 375-380
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    頭頸部再建外科は, 主として頭頸部悪性腫瘍摘出後の大きな組織欠損を修復し, 早期に社会復帰させることを目的としている.
    Ariyanにより開発された大胸筋musculocutaneous flapが頭頸部再建外科に多く用いられている.
    我々も1980年7月より各種頭頸部腫瘍摘出後の欠損修復に大胸筋MCflapを用いて再建している. 症例は, 舌・口腔底癌9例, 下咽頭頸部食道癌6例, その他5例である. 症例の紹介と手術術式の工夫点について述べた.
  • 中田 将風, 岸本 昭憲, 楠本 五郎, 羽田 良洋
    1983 年 37 巻 4 号 p. 381-386
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1972年より1981年までの10年間に国立呉病院で治療した舌癌64症例について検討した.
    原発巣は組織内照射を中心とし, 頸部転移に対しては頸部郭清術で対処するという治療方針を続けた.
    TNM分類では, T124例, T226例, T314例であつた.
    初診時すでに頸部転移を認めたものが16例(25%)あつた.
    また, 治療経過中に転移が出現したものが13例あり, 結局, 全経過中における転移の出現は64例中29例(45.3%)であつた.
    このうち17例, 19側の頸部郭清術を行つた.
    5年粗生存率は全体で46.8%であつた.
    (Stage I 76.5%, Stage II 61.5%, Stage III 23.1%, Stage IV 0%)
    不幸な転帰をとつた症例の死因は頸部転移に起因するものが圧倒的に多かつた.
  • 豊田 純三, 明石 俊男, 高橋 清
    1983 年 37 巻 4 号 p. 387-393
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    男子急性閉鎖治療病棟において, 患者の慢性化に伴う病床回転利用率が低迷していた事態を打開すべく, 昭和53年より, 新たな治療活動を開始した. それは, 閉鎖治療が適応の患者をも, 入院後早期より社会と接触させることを意図するもので, 月1回の強歩訓練と, 年1回2泊3日の合宿訓練を骨子とする. これは, 附随的に日常の病棟活動においても, 病棟外に患者を誘導する機会を増し, 作業療法を促進した. また, 家族の病棟活動への関心を高め,外泊を容易とする方向に作用した.
    この活動の開始前の昭和46年から52年までは, 病床回転率が100%以下にとどまり,かつ3ないし6ヵ月の入院期間を必要とするものが多かつたのに対し, 開始後には, 2ヵ月以内に退院する例が増し, 病床回転率も130%を超えた. この変化が, 対象とした患者構成の質によるものではないことを分析し, 新治療活動との因果関係を論じた.
  • 石垣 一彦
    1983 年 37 巻 4 号 p. 394-398
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当院外来にて, 通院治療を受けている精神分裂病者のうち, 発病後結婚した41人(男性15人, 女性26人)について, 主として社会適応面から調査し報告した.
    男性では, 晩婚で見合結婚が多かつたが, 女性では, 結婚年令は25~29才, 35才以上が多く二峯性を示し, 又恋愛結婚, 見合結婚はほぼ同数であつた. 結婚の機会は女性の方に多かつた.
    結婚に際して, 相手に疾病を知らせた者は女性に多く, 知らせなかつた者は男性に多かつた. しかし離婚例はすべて女性患者であり, 結婚生活における女性の立場は弱かつた.
    社会適応状況, 就労状況は女性が良く, 妻, 母としての役割を良く演じていたが, 男性は経済的社会的役割を期待されながらも, 十分その任務を果していなかつた.
    彼らの結婚生活の水準は, 概して低い段階に留まつていた.
  • 船木 治雄, 広瀬 脩二, 大田 早苗, 石田 秀世
    1983 年 37 巻 4 号 p. 399-402
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    42才の男性の左胸壁に発生した神経鞘腫の1例について報告した.
    胸壁由来の本症は, 我が国の報告では, 本例が26例目という比較的珍しいものである.
    文献的にみて, 胸壁腫瘍の中での本腫瘍の一つの特徴は, 大きくて良性であるということがあげられる. また大多数の本症が卵形ないしは楕円体の形をしているのに対し, 本例は珠数状を呈していたのが特異的であつた.
    このほか, 本症の一般的な特徴について, いささかの文献的考察を加えた.
  • 黒川 真樹, 高添 正和, 片桐 秀昭, 山東 博之, 梅田 典嗣, 岩動 孝一郎, 大網 弘
    1983 年 37 巻 4 号 p. 403-408
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    今回, 我々は,石灰化を伴わず, CTで両側副腎腫大を確認し, 開腹所見より結核性アジソン病と診断した症例を経験したので, 当院のアジソン病20症例と合わせて報告する.
    症例は61才男性. 主訴は全身倦怠感で, 両上下肢末端, 口腔, 口唇の黒褐色の色素沈着, 体重5kg減少が出現し当科受診. 血圧90/60, 軽度の貧血を認め, ツ反は陽性で胸部X線では右肺尖に陳旧性肺結核を認むも, 他の異常所見を認めず. 血清cortisol, アルドステロンは共に低値を示し, ACTH 467pg/ml, β-リポトロピン3250 P9/mlと増加し, Rapid ACTH, Long ACTH試験は共に無反応を認めた. 腹部CT検査で両側副腎腫大を認め(石灰化を認めず), 診断のため開腹し右副腎腫瘤摘出標本より結核性アジソン病と診断した. 左副腎は摘出しなかつた. ハイドロコーチゾン20mg, リフアンピン450mg, INH 300mg投与で経過良好である. 又. 当院20症例中結核性6例, 副腎萎縮は2例, 癌転移1例, 長期ステロイド使用後4例, 原因不明7例であつた.
  • 有田 哲正, 岡部 正人, 荒木 昌典, 由布 雅夫, 川村 亮機, 宇都宮 高賢, 浜田 勢治, 吉田 一成, 山下 純一
    1983 年 37 巻 4 号 p. 409-412
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    64才, 男性, 胃集検で前庭部異常を指摘され精査のため受診した. 胃二重造影で前庭部小轡に胃外側からの圧排像を認め, 内視鏡では前庭部小攣後壁に粘膜下の隆起がみられた. 腹腔動脈造影, ERCPで異常を認めず, CTでは胃前庭部後壁と連続性をもつた円形のlow densityを認め, 胃粘膜下腫瘍と診断し手術を行つた. 腫瘤は前庭部小轡後壁寄りにあり, 所属リンパ節の腫脹も認めないため, 一部胃粘膜を含めて腫瘤摘出を行つた. 大きさは5×5×4cmで大部分が充実性で一部多房性cystがあつた.組織所見は円形および多角形の腫瘍細胞からなり, 胞体は酸好性で核周囲に空胞状の淡明部があるLeiomyoblastomaであつた.臨床的には一般に予後良好とされているが, まれに転移, 再発例も報告されている. 本邦では62例報告されており, それら症例の分析を行い, その臨床症状, 発生部位, 病理学的問題などについて若干の文献的考察を加え報告した.
  • 加来 隆一, 箕浦 茂樹, 花岡 収一, 香山 永樹, 佐藤 孝, 田渕 徹, 我妻 尭
    1983 年 37 巻 4 号 p. 413-416
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    初期の人工妊娠中絶を外来でも無麻酔で施行できるMenstrual Regulation(MR)法を, 子宮体癌の診断に応用した. 本法は子宮内膜吸引法とも呼ばれ, 4~6mmのプラスチツクカニユーラを子宮腔内へ挿入し, 吸引, 掻爬できるものである. 対象は昭和53年1月よりの3年間に当院外来を受診した356例である. 平均年令は45.6才で, このうち閉経例が89例(25%)であつた. MR法の結果は, 頸管部が固く挿入不能であつたものが8例(2.2%), 標本採取量が少なく診断不能であつたものが9例(2.5%)で, 全体では95.3%に満足な組織診の結果を得た. 337例中, 12例の子宮体癌と8例のAdenomatous hyperplasiaが発見された. 副作用は出血と疼痛が主体であつたが重篤なものはなかつた. MR法は所要時間1~2分で, 麻酔なしに子宮内膜の全面掻爬ができるため, 煩雑な外来でのマス・スクリーニングに極めて適している.
  • 海老根 東雄, 鵜養 恭介, 伊藤 仁, 舟山 直樹, 円藤 通典
    1983 年 37 巻 4 号 p. 417-422
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立療養所神奈川病院循環器科で行つた虚血性心疾患患者の検査と外科治療の現況を報告した(昭和56年12月31日現在).
    I)検査, 手術は, 年々増加傾向にあり, 全体で, 検査848例, 手術78例であつた.
    II)外科治療は, 直接冠血行再建術のみ68例(1枝25, 2枝28, 3枝15, そのうち, 内胸動脈使用9枝), 合併手術7例, 瘤切除のみ3例であつた.
    III)開存率は, 全体で81.4%, 部位別でLAD>LCX>RCA>Diagonal使用血管別で内胸動脈>大伏在静脈であつた.
    IV)死亡例は, 早期3例(術後出血1, 突然死1, 敗血症1), 晩期4例(胃癌1, 脳血管障害2, 肺不全1), 合併症例は, 4例(片麻痺を含む脳血管障害2, 術中後心筋梗塞2)であつた.
    V)NYHA機能的分類は, 術後にそのほとんどがII°, I° に改善した.
  • IV. 肥厚型心筋症(非対称性中隔肥厚症)
    名越 秀樹
    1983 年 37 巻 4 号 p. 423-426
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 37 巻 4 号 p. 427-431
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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