医療
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最近における結核の諸問題
外科の立場から
柳内 登
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1984 年 38 巻 4 号 p. 383-385

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抄録

過去10年間に国立療養所晴嵐荘病院で行つた肺結核, 膿胸の手術例は267例で, 48年を境に減少の傾向にあるが, 外科療法を必要とする症例が存在することも事実である. 手術例のうち興味あるものにつき報告する.
1)結核性気管支狭窄例: 6例に手術を行つた. このうち4例は気管支形成術を行い, 下葉の機能を温存することができた. 狭窄部末梢肺に不可逆性変化の生ずる前に気管支形成術を行うことが重要である. 2)膿胸: 肺切除後17年(2例), 22年(1例)目に発生した気管支瘻膿胸に手術を行い治癒せしめた. 結核の手術は長期間の監視が必要である.
3)塗沫陽性培養陰性菌(SPCN)を2年間続けた例に切除術を行つた. 病巣の菌を0.5%NaOHで前処理したところ培養陽性であつた.
4)化学療法に期待したため病状が悪化, 手術の機会を逸し死亡した症例がある. 再発結核例は積極的に手術を行つた方が良いと考える.

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