抄録
近年, 非定型性白血病と診断される症例が増加の傾向ににある. そこでその病態の特異性と治療について検討した.
その結果, 非定型性白血病は高令者で男性に多く見られた. 診断時の末梢血液所見では, 白血球減少例, 白血病細胞の出現しない症例ないしは出現率5%以下の症例が多数を占めた. 理学的所見では, 急性白血病に多くみられる肝, 脾, リンパ節腫, 出血などの出現率が定型例に比べ低率であつた. 治療に関しては, 一般にmildな治療が行われており, その経過は比較的緩慢であるが, 寛解率は低く, 定型的白血病へ移行する症例もみられた. しかし非定型性白血病は高令者で, 骨髄の低形成例が多いので強力な多剤併用療法は“chemotherapy death”を招く危険性があると考えられた.