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LSG分類からみた非ホジキンリンパ腫の治療効果
田中 岑也北川 博中出 泰充藤原 義久田中 正夫高田 亨市川 篤近藤 寛子広田 豊
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1984 年 38 巻 5 号 p. 481-486

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抄録
1978年7月より1981年6月に至る3年間に, 全国国立病院20施設で経験された101例についてLSG分類で整理して, 濾胞性リンパ腫11例10.9%で, 残りはび漫性リンパ腫であつた.
なお, 亜分類で大細胞型36%で最多を占める. 又濾胞性リンパ腫は全例30才以上であるが, び漫性リンパ腫のうち中細胞型, 多型細胞型, リンパ芽球型は比較的多く若年層に発症した.
上記のうち名古屋病院で経験された46例について, 臨床病期, 白血球, 赤血球数, 血小板数, 血清蛋白量, 免疫グロブリン量, 骨髄浸潤の有無について検討した. そのうち2例に免疫グロブリン値異常又び漫性リンパ腫36例中8例に骨髄浸潤がみられ, 濾胞性リンパ腫8例中1例に比し, 高頻度であつた. 治療効果と組織型との関係は濾胞性リンパ腫ではVEPA療法, VEPAB療法いずれも高い寛解率であつた. び漫性リンパ腫についてはVEPA療法とVEPAB療法で寛解率に差がみられた.
リンパ腫全体としてVEPA39例中27例69.2%の完全寛解に対し, VEPAB療法25例中8例32.0%の完全寛解率を有意に上回つた. VEPAB療法では不完全寛解例が多い.
しかし, 50%生存はVEPA療法39例のそれは6.8カ月, VEPAB療法25例は7.2カ月と大差なく, このことは維持療法の考案の必要性を示唆したものと思われる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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