医療
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消化器手術後の腎不全を伴う多臓器障害
吉岡 秀憲西脇 洗一安冨 徹
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1984 年 38 巻 5 号 p. 517-521

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抄録
消化器手術後に連続して多数の臓器が機能不全に陥る, multiple organ failure (MOF)という概念での急性腎不全について検討した.
過去9年間に2438例の消化器手術中MOFは57例で全体の2.3%で, このうち21%の12例に急性腎不全を来した. 年令は50才以上に高頻度であつた. 障害臓器が2臓器が8例, 3臓器が3例, 4臓器が1例であつた. 1例を除き術後60日以内に死亡した. 急性腎不全を起した原因は感染症が最もも多く, 次いで肝障害であつた. 呼吸障害, DICが各1例にみられた. 急性腎不全の特徴は, 障害の末期にあらわれたことである. 診断上, 対照群と比較して, 尿中のNaの排泄の障害がみられ, Na/Kは2以下であつた. これは尿細管の機能をみる上で重要な指標であつた. 治療上, 感染巣の除去が第一であり, 腎不全におちいつたものには, 腹膜灌流, 血液透析が行われ, 肝障害が加わつた者には血漿交換が行われた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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