抄録
Nonimmune hydrops fetalisは胎児赤芽球症に起因しない胎児水腫である. その原因の一つに双胎間輸血がある. 当症例も双胎のII児で, 在胎32週, 出生体重2090gの男児である. I児は1050gで死産であつた. アプガー・スコアは9点だつたが, 羊水過多があり, 出生時に高度な浮腫があつた. 母親との血液型不適合はなかつた. 出生直後, 末梢血ヘマトクリツトは32%, 血清総蛋白は2.4g/dlであつた. プラスマネートの投与, ツムラ五苓散エキス0.5g/日の内服, を日令1日より投与開始した. ラシツクスは日令2日に1mg 2回使用しただけであつたが, 日令2日に200ml, 3日に300mlの尿量が得られ, 体重も1700gとなつた. このように急速な利尿が得られたにもかかわらず, 乏尿もなく, 血清電解質のアンバランスもみられなかつた. 数日間の人工換気療法の後, 元気になつた.