医療
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39 巻, 11 号
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  • 石井 奏
    1985 年39 巻11 号 p. 929-938
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    緊急麻酔はその範囲がきわめて広いため今回は主として成人の一般外科, 整形外科, 産婦人科及び脳外科を対象とした場合についてのべた. これらの外科系領域においては, 緊急麻酔を行う前に患者の状態を充分把握しておくことが重要で, その方法として, ASAの分類のみならず, Thorntonによる緊急麻酔患者の分類法についてのべると共に, 一般に用いられている意識障害の程度を評価するGlasgow Coma Scale及び3-3-9度方式についてものべた. 更に, 最近では麻酔科医は救急医学と密接な関係があるので, この方面で用いられている外傷の重症度を判断するBoston EMS Systemについてものべた.
    その他, 緊急麻酔時の主要な術前検査項目, 麻酔法の選択, 準備すべき主な薬品及びモニター法についてのべた.
  • 長沼 芳和, 津崎 晃一, 落合 亮一, 川添 太郎, 小野 章, 比嘉 正祐
    1985 年39 巻11 号 p. 939-943
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    施設で硬膜外麻酔により手術を受けた60才以上の患者130名について, 術前, 術中状態の評価を行つた. 高令者では術前に心肺系に異常を認めるものが多く, 心電図異常は全体で49.2%も存在し, 肺機能低下も51%に見られた. 術中の血圧変動は上腹部, 胸部手術に著しく, 多くのものは昇圧剤を必要としたが, 下腹部以下の手術では, 80才以上の老人でも比較的安定した血圧が保たれた. また術中の血液ガス分析で笑気4l/分, 酸素2l/分の吸入下にて, PaO2 100mmHg以下となつたものが60才代で14.6%, 70才代で20.0%存在した. PaCO2 46mmHg以上となつたものは60才代で29.3%, 70才代で12.0%, 80才代では42.9%に達し, 高令者では全例術中に血液ガス分析を施すことが望ましい.
  • 長町 典夫, 高橋 克幸, 山田 清美, 黒木 尚之, 鈴置 洋三, 我妻 堯
    1985 年39 巻11 号 p. 944-948
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    妊娠初期に自然流産した胎児由来の組織を培養し, 染色体分析を行つて, 染色体異常の出現頻度や発生要因などを解析した. 平均11週令の流産個体を合計316個体を培養し, その145例において染色体分析に成功した. その結果, 染色体異常が72例(50%)に認められて自然流産の原因の約1/2を占めていることが明らかになつた. 染色体異常の内訳は, 倍数体27%, モノソミー22%, トリソミー43%, 構造異常8%であつた. 染色体異常の発生要因などを解析してみると, 母体年令の上昇がトリソミー個体の発生に関係していることが明らかになつた.
    また, 構造異常例では両親の片方がすべて転座保因者であつたので, 反復流産における両親の染色体検査の必要性が強調された. ここで観察された染色体異常型の大部分は, 新生児にはみられない, すなわち生まれてこれないタイプであり, 出生前に遺伝的な淘汰力が大きく働いていることが推測された.
  • 豊泉 長, 柏木 登, 堤 紀夫, 大谷 良樹, 河野 通夫, 伊東 一郎, 横山 哲也, 土田 正祐
    1985 年39 巻11 号 p. 949-953
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    妊娠は自然における移植成立状態といわれているが, 臓器移植の際に重要な意義をもつているHLAと妊娠との関係についてはまだ不明の点が多い. 今回我々は分娩で得られた母体からの血液を用いて, 産婦におけるHLA抗体の有無を検索し, 抗体陽性例について産科的背景, すなわち産婦の年令, 妊娠回数, 分娩回数, 自然流産回数, 人工妊娠中絶回数, 児の男女別, 児の体重, 胎児付属物重量, 出血量, ABO式血液型の組合わせ(母と児) について抗体陰性例と対比検討を行つた. 抗体陽性率は935例中226例(24.2%). 経妊婦は初妊婦に比し, 経産婦は初産婦に比し抗体陽性率は有意に高かつた. またHLAタイピングに必要なmonospecific seraが得られた率は, 妊娠2回目の婦人において最も高かつた.
  • 池野 暢子, 島 功, 遠藤 紘, 高橋 克幸, 渡辺 正昭
    1985 年39 巻11 号 p. 954-960
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近, 妊娠の診断はリニア電子走査方式超音波診断装置の産婦人科領域への応用により, きわめて早期に確実に診断が可能となつたため, 子宮内妊娠の除外診断として, さらに子宮外着床妊卵の診断においでも最近では高い正診率が期待できるようになつた.
    今回我々は, 最近4年間に当院において開腹を行つた子宮外妊娠47例中, 開腹前に超音波検査を施行した29例の超音波断層所見について検討, 子宮外妊娠の診断基準および超音波断層所見の特徴と臨床像との関係について考察を行つた. すなわち, 子宮外妊娠の超音波診断は, 子宮内妊娠性所見, 子宮外妊娠性腫瘤像または子宮外妊卵着床所見, ダグラス窩における妊娠性所見により決定される.
    以上, 子宮外妊娠の確診における超音波断層所見として, 1) 子宮外妊娠性腫瘤像, 2) ダグラス窩貯留液所見, 3) 子宮内胎嚢像類似所見について解析を行つた.
  • 最近9年間の国立仙台病院での子宮外妊娠113例の臨床的観察
    池野 暢子, 島 功, 遠藤 紘, 高橋 克幸, 渡辺 正昭
    1985 年39 巻11 号 p. 961-967
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    近年, 子宮外妊娠は診断技術の向上と救急医療体制の整備とにより死亡率は著減したが, 現在でも妊産婦死亡第3位の疾患に変りはなく, 産科急性腹症の代表的疾患の一つであり, しかも発症頻度は決して減少傾向は示していない. 子宮外妊娠の要点は, 中絶発症前および中絶発症早期における確診の困難さに加えて, 初期の治療の適否が予後を決定するところにある.
    今回我々は, 最近9年間に当院において手術を施行し, 摘出標本の病理組織学的検索において子宮外妊娠と確診した, 卵管着床子宮外妊娠109例, 卵巣着床子宮外妊娠2例, 腹膜着床子宮外妊娠2例の計113例について, 1) 罹患年令別頻度, 2) 妊娠, 分娩および妊娠中絶回数別頻度, 3) 症状, 検査および診断, 4) 開腹手術, 5) 妊卵着床部位および罹患側別頻度, 6) その他, 反復子宮外妊娠, 合併骨盤内腫瘤の内訳と頻度について, 統計的観察ならびに考察を行つた.
  • ―早期診断の意義と可能性―
    小田 高明, 牛嶋 公生, 田崎 民和, 長末 直樹
    1985 年39 巻11 号 p. 968-975
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    過去3年間に経験した子宮外妊娠39症例を検討し, その既往歴, 症状, 各種補助診断法の成績, 開腹所見を調査し, 早期診断の意義について考察した.
    1. 正常分娩に対する外妊の発生率は2.44%であつた.
    2. 既往歴について, 正常妊婦100人と比較したが, 人工妊娠中絶, および何らかの骨盤内感染の既往が患者群に高率にみられた.
    3. 卵管妊娠において, 卵管破裂例, 流産例間に, その症状の出現状況には差を認めなかつたが, 腹腔内出血量について差を認めた.
    4. 超音波B-scopeやDouglas窩穿刺は, 外妊の診断に有効であつたが, 腹腔内出血100g以下の症例では, 確診には至らなかつた.
    5. 早期診断例と, 診断に日数を要した症例では, 腹腔内出血量, 卵管破裂例数に大きな開きがあり, 早期診断の重要性が確認された.
  • 医師の生涯教育効率化の開発研究班
    1985 年39 巻11 号 p. 976-983
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    地域医師の生涯教育の現状, ニード分析, 地域国病のあり方などにつき, 全国8国立病院が属する地域医師会会員818名にアンケート調査を行つた.
    回答は418名より得られ, その結果学習意欲は高いものの, 多忙な日常診療におわれ, 過半数の人が学習不充分と述べていた. 又, 真に役立つものがないなど, 現在の学習媒体が医師のニードにマツチしていないこともわかつた. 紹介患者を通じての国病のオープン化を希望する意見は多く, 紹介患者の報告書, 検査依頼, ベツトサイドミーテイング, 症例検討会参加から診療参加にまでわたつていた. 講習会としては, 小グループ制で実地に役立つ積極参加形式の希望が多かつた.
    国病のあり方として, 救急医療, 難病治療, 高度医療センターとしての充実の次に, 医師会と提携した形式の地域医師生涯教育研修センターが挙つており, 国病の一機能として生涯教育は一つの柱になりうると考えられる結果を得た.
  • ―電顕的観察―
    大山 克巳, 籏野 倫, 徳永 信三, 山嵜 雄一郎
    1985 年39 巻11 号 p. 984-987
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    外陰部bowenid papulosisの1例を経験したので供覧するとともに, その電顕的観察の結果についても報告する. 症例は30才の主婦で, 妊娠4ヵ月目に外陰部から一部肛囲に及んだ多発性黒色小丘疹を主訴として来院した. 小丘疹の病理組織像では表皮の肥厚と組織学的色素失調とがみられ, 表皮細胞は大小不同, 分裂像, 個細胞角化などの異型性を示していたが, 真皮への浸潤はなかつた. 以上より外陰部bowenoid papulosisと診断した. この皮疹は妊娠・出産の経過中自然消褪した. 電顕的には, トノフイラメントの著しい凝集すなわちdyskeratosis, 核分裂像を示す大型の異型細胞などがマルピギー層に散見され, また電子密度の乏しいcytoid bodyやこれを表皮細胞が貪食しているかのような所見もみられた.
  • 立花 修, 石倉 彰
    1985 年39 巻11 号 p. 988-992
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    経蝶形骨洞手術後の髄液鼻漏からtension pneumocephalus(TP)へ移行した2症例を経験した. 1例はprolactinomaで, 術後14日目にTPを発症し, 他方はempty sella症候群で術後27日目にTPを併発した. 髄液鼻漏が起ると充填してある筋肉片などがone way check valve actionを起し容易にTPへ移行する. TPは頭蓋内圧亢進と感染症を惹起し, 生命予後に重大な影響を及ぼす. 早期診断には頭蓋単純写とCTスキヤンが有用で, TPとの診断がつけば, 迅速な排気と髄液簍孔部の直接閉鎖が必要で, 筋肉片, 脂肪, lyodura, 骨片などによる鞍内, 鞍底の修復と蝶形骨洞内からの鞍底部圧迫補填が大切である.
  • 佐藤 良博, 宮崎 朋子, 水本 善四郎, 井上 由紀
    1985 年39 巻11 号 p. 993-996
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は過去10年間に片麻痺に合併した下肢の循環不全を20例経験している. そのうち17例は麻痺側, 2例は両側(Leriche症候群), 1例は非麻痺側にみられた.
    一般状態が悪く手術不能なLeriche症候群2例, 予防的処置で切断を免れた3例を除く15例(すべて麻痺側)に切断を行つた.
    切断の内訳は9例が膝上, 4例が膝下, 2例が足部である.
    切断を行つた15例の壊死原因はいずれも閉塞性動脈硬化症であつた. 13例に高血圧, 副脈硬化症, 糖尿病などの内科的合併症があつたが特に手術の妨げにはならなかつた.
    壊死に陥る前は13例が歩行可能であつたが, 術後, 膝上2例, 膝下1例の3例が義肢装用して歩行可能になつたにすぎない.
    歩行可能例に共通している点は, 麻痺, 内科的合併症の重篤度とは余り関係が無く, 歩行能力の再獲得に意欲的であつたことである.
  • 荒田 敦, 神崎 晋, 大村 勉, 加藤 文徳, 荒木 文雄, 蓮岡 英明, 三宅 真砂子
    1985 年39 巻11 号 p. 997-1000
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は12才の女児. 非腎症SLEとして, prednisolone 10mg/日投与中, 頻回の嘔吐, 下痢, 腹痛が出現した. SLEの胃腸症型の再発として, prednisolone 60mg/日に増量するも効果なく, さらに回盲部に圧痛を認めるため, 虫垂炎として開腹術を行つた. 虫垂はカタル性の変化のみで, SLEの血管炎によるものと考えた. 術後パルス療法を行い, 翌日より症状軽快した.
  • 広田 曄子
    1985 年39 巻11 号 p. 1001-1005
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Nonimmune hydrops fetalisは胎児赤芽球症に起因しない胎児水腫である. その原因の一つに双胎間輸血がある. 当症例も双胎のII児で, 在胎32週, 出生体重2090gの男児である. I児は1050gで死産であつた. アプガー・スコアは9点だつたが, 羊水過多があり, 出生時に高度な浮腫があつた. 母親との血液型不適合はなかつた. 出生直後, 末梢血ヘマトクリツトは32%, 血清総蛋白は2.4g/dlであつた. プラスマネートの投与, ツムラ五苓散エキス0.5g/日の内服, を日令1日より投与開始した. ラシツクスは日令2日に1mg 2回使用しただけであつたが, 日令2日に200ml, 3日に300mlの尿量が得られ, 体重も1700gとなつた. このように急速な利尿が得られたにもかかわらず, 乏尿もなく, 血清電解質のアンバランスもみられなかつた. 数日間の人工換気療法の後, 元気になつた.
  • 染野 敬, 中村 久, 蝦名 謙一
    1985 年39 巻11 号 p. 1006-1009
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1969年4月から1983年12月までの入院患者について統計的観察を行つた. 対象となつた入院患者数は3320人であつた. 性別は男性2470人, 女性850人で約4:1の割合で男性が多かつた. 年令は10才別に検討したが男性では, 61~70才が13.3%と最も多く, 次いで71~80才11.4%, 51~60才9.8%の順に多かつた. 一方女性は41~50才4.6%, 51~60才4.5%, 21~30才4.1%と比較的平均化されて若い年代が多かつた. 入院患者の疾患の内訳は, 腎疾患27.4%, 膀胱疾患17.3%, 尿管疾患12.3%, 前立腺疾患12.9%, 陰嚢および陰嚢内容疾患10.3%, 尿道疾患4.9%, 陰茎疾患2.7%, 後腹膜腔の疾患0.4%, その他の疾患11.8%であつた.これらの疾患について疾患別頻度を中心に検討した.
  • II. 骨髄 3.巨核球
    青木 誠, 村山 直弘
    1985 年39 巻11 号 p. 1010-1013
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1985 年39 巻11 号 p. 1014
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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