抄録
急性心筋梗塞の心不全に対する治療は, Swan-Ganzによりflow directed balloon catheterが開発され, 容易に患者の血行動態を経時的に観察出来るようになり, 大きく進歩した. さらにForresterらにより心機能を4つのSubsetに分け治療を行うことが提唱され,今日血行動態に基づいて治療方針が決定されている.
我々は本論文において最近の治療について,主として自験例に基づいて, ジギタリス剤, 利尿剤, カテコールアミン, 血管拡張剤, IABPなどの治療法を紹介し, その利害得失について述べたが, 我々の得たデータは以前より諸家により報告された結果と大略同様な結果であつた.
最後に急性心筋梗塞の心不全の状態は急速に進行し, しばしば不可逆性の変化をとることか多いので, 入院早期における正確な評価と, もし心不全症状を認めた時には速やかに血行動態のモニターを開始し, 治療にあたつては体系的な治療計画をたてる必要があることを強調した.