抄録
J. Charnlayが人工股関節をはじめて20年以上が経過し, 当初は適応年令が60才以上を厳格に守られていた. その後, 金属材料, ポリエチレン材料の改良, 加工法の改良, 更に, 手術手技の改良などが重ねられ, 更に, 金属材料がアルミナ・セラミツクスへと変換され, 適応年令を少しでも下げようとする努力がはらわれてきている. 長期成績をみた場合, セメント固定による問題点が多く, これら問題点を解決するために骨セメントの改良, セメント手技の改良などがすすめられ, 一方では, 長期のセメント固定に信頼がもてず, セメントを用いない人工関節が生れてきた. しかし, セメント固定を行わない場合, 十分支持性のある比較的健常な骨がなければならない. RAや高令者のように骨萎縮が高度であるばかりでなく, 脂肪髄化している場合では, 骨セメント固定が必須である. 従つて, 今後もセメント固定を行う場合と, 行わない場合の2つの方法による人工関節が用いられるであろう.