日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PB-009
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2.人格
不安定な愛着傾向が対人ストレスコーピングを介して精神的健康に与える影響
*今城 希望越川 房子
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抄録

本研究では,見捨てられ不安と親密性の回避の高さを不安定な愛着傾向とし,ネガティブ関係コーピングを取りやすいことを対人ストレスコーピングの選択の失敗として,仮説「不安定な愛着傾向は,対人ストレスコーピングの選択の失敗を介して精神的健康を下げる」を検証することを目的とした。大学生・大学院生計214名に対し,親密な対人関係体験尺度の一般他者版,対人ストレスコーピング尺度,GHQ30を実施した。共分散構造分析によるパス解析から,標準化推定値が5 %水準ですべて有意であり適合度指標も十分なモデルを得た。見捨てられ不安と親密性の回避から,それぞれネガティブ関係コーピングへの有意な正のパスと,ネガティブ関係コーピングから精神的健康への有意な負のパスが確認された。また,見捨てられ不安と親密性の回避から,それぞれ精神的健康への直接の有意な負のパスも確認された。以上から,仮説は支持された。また,不安定な愛着傾向が直接原因となり精神的不健康状態をもたらすという因果関係も明らかになった。今後は,検討する精神病理を具体的に絞り,不安定な愛着傾向を素因とする素因ストレスモデルについて検討を深める必要がある。

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