医療
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吐血を繰り返す重症心身障害児への十二指腸チューブの適応について
三好 和雄升田 慶三亀尾 等
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1986 年 40 巻 7 号 p. 643-645

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抄録
経管栄養を施行中に, コーヒー残査様の嘔吐とタール様黒色便を繰り返していた重症心身障害児において, チユーブの留置を胃より十二指腸の下行脚に変更することが, 消化管出血の改善に有効であつたので, ここに報告する. 症例は, 13才の女児で, 2才の時より, 溺水事故の後遺症のため, 経管栄養を余儀なくされた. 8才の時, 当院へ転院したが, 上部消化管出血を繰り返し, 上部消化管造影で, 著明な胃食道逆流現象と滑脱型横隔膜ヘルニアを認めた. 半起坐位にしての栄養剤の注入と抗潰瘍薬による治療後も上部消化管出血を繰り返していたが, チユーブを十二指腸の下行脚に留置することにより, 症状の寛解を得た.
経管栄養が施行されている重症心身障害児で著しい胃食道逆流現象を認める症例では, 体位の工夫と薬物療法の他に, チユーブを留置する部位も大事であると思われた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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