医療
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脳結核腫の1症例
松海 信彦石光 宏原田 泰弘宮田 伊知郎西浦 司津野 和幸西本 健荒木 文雄
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キーワード: 悪性高熱症, 脳結核腫
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1988 年 42 巻 1 号 p. 67-71

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抄録
近年, 脳結核腫は化学療法の進歩により著しく減少し, 最近ではまれに報告をみるに過ぎない. 今回我々は, 脳結核腫の1例を経験したので報告する. 症例は35才の男性で, 昭和59年6月左顔面に痙攣を数回おこし, 当科を受診した. CTで右運動領にわずかに低吸収域を認めたが, 神経学的に異常所見はなく抗痙攣剤を投与して経過観察していた. 翌年4月全身痙攣をおこし, また, このころより左顔面, 舌の知覚異常を訴えるようになつたため, CTを再検すると, 低吸収域は右前頭葉より頭頂葉まで増大し, さらに造影剤注入で不規則なenhancementを示した. しかし, 血管撮影では特に異常所見は認められなかつた. 4月25日脳腫瘍の診断のもとに開頭術を行つたところ, 悪性高熱症をきたし, 手術は外減圧術のみにとどめた. 5月23日NLA麻酔下で腫瘍摘出を行い, 病理診断は脳結核腫であつた. 術後経過は良好で, 直ちに抗結核療法をはじめ, 6ヵ月後のCTで残存した腫瘤は縮小していた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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