抄録
insulinomaの術前局在診断や術中腫瘍検索方法には多くの報告がみられる. 著者らは, 超音波検査と腹部血管造影にて, 術前に局在の判明した症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した.
症例は22才の女性で, 主訴は意識消失発作. 血中インスリン値は軽度上昇のみであつたが, 絶食試験, グルカゴン負荷試験で, insulinomaと診断された. 超音波検査, 腹部血管造影にて膵尾部に腫瘍像がみられた. 膵体尾部・脾合併切除を施行し, 術中は人工膵モニタリングにて腫瘍切除を確認した. 術後経過は順調で, 現在外来にて経過観察中である.