医療
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42 巻, 12 号
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  • 柏原 英彦, 大森 耕一郎, 横山 健郎
    1988 年42 巻12 号 p. 1112-1118
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腎移植は慢性腎不全の治療として確立され, 国は国立佐倉病院を「国立腎移植センター」に指定して死体腎移植の成績向上および普及を国策としてきている. この中で, 腎移植システムは, (1)腎移植希望者の登録, (2)ドナー情報の通知・組織適合検査, (3)受腎者の選択, (4)腎輸送・患者移動連絡など死体腎の有効利用に開発されたものである. 全国8ブロツク, 14地方腎移植センターとオンライン化させ稼働している. 昭和61年末までの移植希望者登録7,635名,「HLA―全国共通トレイ」6,935名分の作成・配布, 適合者検索数226回(年平均56回)である. シクロスポリン導入で, 死体腎移植成績は飛躍的に向上し, 医学的改善・社会復帰を果しているが, 症例数は依然低迷を続けている. 透析患者は7万5千に達し, 多くの移植希望者の「quality of life」を国民的視野で考える必要があろう.
  • 喜多島 豊三, 植田 利貞, 中嶋 雅彦, 難波 亨, 黒田 亮平, 葉山 典泰, 奥村 光治郎, 西村 曜, 市川 光明
    1988 年42 巻12 号 p. 1119-1126
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    99mTc-HSAを用いて上肢のリンパ系の動態機能検査を行い, 乳癌術前・後におけるリンパの流れの変化を検索した. 正常例にてもリンパの流れ方には種々のルートがあり, これをI型(a, b, c, d型)と, II型(a, b, c, d, e, f型)に分類した. 乳癌術後においてはI型が減少し, II型が増加した. I型には術後浮腫はほとんど認められていない. 非定型乳房切断術と定型(拡大)乳房切断術では, 後者の方に浮腫例が多く認められ, また術後3年以上経過しているものに浮腫を認める傾向が強い. 術前または術後に橈側皮静脈周辺のリンパ流が認められるものには, 術後浮腫はほとんど認められない. 正常例においても鎖骨下部あたりのリンパのうつ滞像を示すものもあるが, 転移リンパ節の診断はこの検査では困難である. 癌の治療は救命第一ではあるが, 早期の乳癌例においての徹底的な腋窩郭清は問題で, 特に鎖骨下動静脈の頭側や橈側皮静脈周辺, 並びに静脈角あたりの脂肪組織の郭清は, 術後浮腫との関連性において注意を要する.
  • 喜多島 豊三, 植田 利貞, 中嶋 雅彦, 難波 亨, 黒田 亮平, 葉山 典泰, 奥村 光治郎, 西村 曜, 市川 光明
    1988 年42 巻12 号 p. 1127-1133
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    99mTc-HSAを用いて上肢のリンパ系の動態機能検査を行い, 乳癌術前・後におけるリンパの流れの変化を検索した・正常例にてもリンパの流れ方には種々のルートがあり, これをI型(a, b, c, d型)と, II型(a, b, c, d, e, f型)に分類した. 乳癌術後においてはI型が減少し, II型が増加した. I型には術後浮腫はほとんど認められていない. 非定型乳房切断術と定型(拡大)乳房切断術では, 後者の方に浮腫例が多く認められ, また術後3年以上経過しているものに浮腫を認める傾向が強い. 術前または術後に橈側皮静脈周辺のリンパ流が認められるものには, 術後浮腫はほとんど認められない. 正常例においても鎖骨下部あたりのリンパのうつ滞像を示すものもあるが, 転移リンパ節の診断はこの検査では困難である. 癌の治療は救命第一ではあるが, 早期の乳癌例においての徹底的な腋窩郭清は問題で, 特に鎖骨下動静脈の頭側や橈側皮静脈周辺, 並びに静脈角あたりの脂肪組織の郭清は, 術後浮腫との関連性において注意を要する.
  • 林 隆一, 高塚 雄一, 中山 博輝, 河原 勉
    1988 年42 巻12 号 p. 1134-1137
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当施設では, これまで10例の早期乳癌に対して一期的乳房再建術を行つてきた. 本稿ではとくに著者らが施行している腹直筋皮弁法の手技を紹介するとともに, その有用性および問題点も報告する.
    腹直筋皮弁法の利点としては, 筋皮弁採取部の瘢痕が目立ちにくく, 人工物を使わずに乳房を再建できることが挙げられる. 術中体位変換も必要としない. とくに中年女性では下腹部の脂肪除去も同時に行えることになる.
    問題点としては, 腹壁の脆弱化と皮弁遠位端の血流が不安定であることが挙げられる. 腹壁ヘルニアは, MARLEX MESH®にて後鞘の欠損部を補強することにより予防できる. また皮弁遠位端の皮膚は, 胸壁および皮膚固定時になるべく切除するようにしている.
    以上のことより横軸腹直筋皮弁法は, 乳房再建の有用な方法の一つであると思われる.
  • 豊田 恵美子, 井上 裕史, 三上 裕一郎, 万袋 喜敬, 中西 洋二, 中井 幹三, 渡辺 哲也, 菅田 汪
    1988 年42 巻12 号 p. 1138-1141
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    未治療の肺癌64例および肺結核症34例における血中腫瘍マーカーCEA, CA19-9, SCC, NSEを測定した. CEAは腺癌で, SCCは扁平上皮癌で, NSEは小細胞癌で高値をとる傾向がみられ, CA19-9は腺癌, 扁平上皮癌, 小細胞癌とも病期が進むにつれて上昇している. 肺結核症においては, 大むね陰性か軽度上昇であつたが, SCCおよびNSEにおいて非常に高値をとるものが少数例みられた.
  • 草野 敏臣, 古川 正人, 中田 俊則, 瀬戸口 正幸, 林 〓欽, 田代 和則, 立花 一幸, 菅 和男, 宮崎 国久
    1988 年42 巻12 号 p. 1142-1145
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胆道癌の進展度判定は, 従来, 主として術前は血管造影を中心とした総合画像診断, 術中は胆道X線造影において行われてきた. しかしながら, 胆管癌の胆管壁水平浸潤に対しては確実性がなく, その根治切除において問題の多いところであつた. そこで我々は術中超音波検査(以下「IOUS」)を用い胆道癌進展度, 特に胆管癌における胆管壁水平浸潤部のIOUS像を検討した. 対象は, 昭和59年6月より, 当院外科において開腹術を施行した胆道癌23症例に, 浸潤部位の検索, 切除範囲の決定, などの目的でIOUSを施行した. 疾患内容は, 胆嚢癌6例, 胆管癌17例(結節型3例, 結節浸潤型9例, 浸潤型5例)である. その結果, 胆管壁水平浸潤については, 浸潤部に随伴して生ずる線維化肥厚層が主腫瘍から連続した高エコー像としてとらえられ, このことはBorrmann 4型胃癌の粘膜下浸潤部にみられるUS像と一致し, 本所見は胆管癌切除範囲決定に有用と思われた.
  • ―壁深達度とリンパ節転移について―
    佐藤 源, 福田 和馬, 村上 正和, 稲月 伸一, 木村 誠, 土井原 博義, 森脇 昭介
    1988 年42 巻12 号 p. 1146-1149
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和59年1月から61年12月までの3年間に, 直腸癌患者の術前CT検査を52症例に実施した. 組織診断と対比して, 直腸癌の壁深達度の正診率は81%であり, 直腸旁リンパ節転移の正診率は69%であつた. 術前CT検査は壁深達度をよく把握しており, リンパ節の質的診断は困難であつたが, 術前stagingには有力な診断法であると考えられた.
  • 吉田 途男, 森島 豊彦, 松島 洋之, 阿部 裕
    1988 年42 巻12 号 p. 1150-1153
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    自己血糖量にもとついてインスリン量の変更を指導する, コンピュータプログラムを日本語エキスパートシステム支援ソフトウエア, 創玄を使用して試作した. 今回は, 原則1回注射法(中間型を朝1回, 朝と夕に, 必要に応じて速効型を追加する)に限つたが, ほぼ臨床家と同様な判断が出力され得, 患者教育に対しての有用性が示唆された. 本ソフトウエアではルールの数が多くなりすぎ, 全体の見通しのよさはそこなわれたものの, 一つ一つのルールは理解しやすい日本語で記述されており, コンピユータソフトウエアということを意識しないでプログラムの内容を読むことが可能である. なおかつ, 従来の内容について, 全くのブラツクボツクスとなつているプログラムに比し, その点で用いやすいものであると考えられた.
  • 吉田 途男, 森島 豊彦, 松島 洋之, 阿部 裕
    1988 年42 巻12 号 p. 1154-1156
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    TDK Tutor systemを用いて, 糖尿病患者教育に用いうるソフトウエアを試作した. 試作したものはPC9801で行動可能とし, 糖尿病患者に使用せしめた. 患者の反応では, 本による教育に比して, 当方法のほうに, より好意的であつた. 医療行為として教育を考えるなら, 主治医が存在する患者に対する指導の補助としての位置付けという制限はあるものの, 有用であると判断しえた.
  • 林 郁夫, 柳内 登, 藤野 忠彦, 唐沢 和夫
    1988 年42 巻12 号 p. 1157-1159
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    地域医療への積極的な参入と循環器疾患に対する啓蒙を目的として, 茨城県大宮保健所で循環器クリニツクを開設した. 昭和59年8月から同62年12月までに受診総数77名, 要精検37名(48%)の診断・疾病管理に携わつた. 各種集団検診に関しては, 呼吸器科専門医に胸部間接フイルム読影時に心臓大血管異常陰影の指摘を依頼し, 64名, 要精検28名(44%)の受診をみた. 開業医の紹介と自主的受診は合計13名だつた.
    クリニツクでは血圧側定・問診・打聴診と適宜の心電図検査を行つた. 要精検者は国療晴嵐荘病院で診断を確定した. 結果は保健所を通じかかりつけの医療機関・学校・住民に報告した. 食事指導への振り分けも行つた.
    1)集検フイルムの活用. 2)各種循環器疾患の検出. 3)住民・開業医・専門病院という地域医療の各要素を結びつけるシステムになり得る. 1), 2), 3)につき記す. クリニツク開設の目的は果しつつあると思われる.
  • 高梨 雄蔵
    1988 年42 巻12 号 p. 1160-1162
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    猫から感染したM. canisによる体部白癬は小形で多発するのが特徴であるが, 81個の発疹を認めた症例を述べ, さらに当科で経験した9例の症例について若干の検討を試みる. 症例は58才主婦で, 脱毛斑のある捨て猫を飼つて2週後から顔面, 体幹, 両前腕に合計81個の痛みの強い鮮紅色で炎症症状の強い紅斑が生じた. 患者の鱗屑及び猫の脱毛斑の病毛の培養でM. canisと同定した. 過去10年間当科で経験した猫との接触後発症したM. canisによる症例は9例である. 男女比は2:7で女性に多く, 男性の2例は小児で, 女性と小児に発症し, 猫との接触の多いことがわかる. 発疹数は7ないし81個で, いずれも小形で炎症症状の強い紅斑である. 猫の脱毛斑を患者が認めたのは9例中7例で, 猫の病毛を培養し得た5例中4例にM. canisを認めた.
  • 加来 真理子, 原 英二, 和田 吉晴, 橋本 孝子, 児玉 勉, 安田 國士, 芹川 光行
    1988 年42 巻12 号 p. 1163-1167
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    パラコート, ジクワツト, 1,1'-diethyl-4,4'-bipyridyldiylium(内部標準)を高速液体クロマトグラフィーで分離した. Nova-Pak C18カラムに, 対イオンとしてヘプタンスルフオン酸0.005M, ジエチルアミン0.05Mを含む12.5%メタノールをリン酸でpH3.0に調整した移動相を用いた. 1ml/minの流速, 注入量20μl, 検出波長290nmで7分以内に完全に分離するクロマトグラムが得られた. 検出限界は, 0.1μg/mlであるため, 中毒患者血清の定量分析に十分対応できた.
    血清または尿中除草剤は, 除蛋白操作を加えることなくアルカリ性にしたのみでSep-Pak C18に保持させ, 塩性メタノールで溶出した.
    本法は前処理及び分析に要する時間も短く簡便であり, 除草剤中毒患者の血清中パラコート, ジクワツトの分離定量に有効な手段と考えられる.
  • 吉田 冲, 矢毛石 陽三, 深田 義夫, 津田 洋, 乾 浩三, 吉田 修, 河田 健介, 大浦 正博
    1988 年42 巻12 号 p. 1168-1169
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和52年4月以降の11年間に国立善通寺病院外科で手術をした食道癌症例は33例で, 男26例, 女7例, 年令は平均64.3才で最高令は82才であつた. 主訴は, 進行癌が多い関係で嚥下困難もしくは通過障害が大多数を占め, 病悩期間は1~3ヵ月が多かつた. 占居部位はImが19例と最も多く, X線的, 内視鏡的には進行癌の所見を呈していた. ただし2例は表面隆起型の所見を認め, 組織的にmm癌, ep癌の早期癌であつた. stage分類ではStage III~IVが23例を占めていた. 手術術式では胃管を用いた再建が24例と最も多く, 経路は胸壁前再建が13例で最も多く行われている. 手術死亡は5例である. 耐術者の予後は不良で, 現在1年以上生存例中の3例を除き全例3年以内に死亡している. 3例に同時性重複癌(舌癌, 胃癌, 肝癌)の合併を認めた. 食道静脈瘤に食道癌を合併した1例は骨転移が早く予後が極めて悪かつた.
  • 山口 豊明, 小川 勝明, 古畑 哲彦, 植草 富二郎
    1988 年42 巻12 号 p. 1172-1175
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は25才男性. 主訴は睾丸腫大. hCG, AFPともに高値を示し, 左睾丸腫瘍の診断のもとに, 左高位除睾術施行. 病理組織学的には絨毛癌+胎生期癌であつた. 除睾後, hCG, AFPはその半減期通りに正常化した. また, 各種検査に異常を認めず, Stage Iと診断し, watch and see policyを採用した. しかし, 除睾後4ヵ月, hCG 1048mIU/mlと上昇し, 腹部CTにて後腹膜リンパ節に転移が認められた. そこでPVB療法2コース施行. 腫瘍は著明な縮小をみたが, 腫瘍残存したため, 9月1日, 後腹膜リンパ節郭清術施行. 摘出腫瘍は壊死と線維化のみであつた. 術後6ヵ月の現在, 再発転移は認められない.
    watch and see policyにて, たとえ再発しても, 完全に治癒することが可能であり, Stage Iの非セミノーマに対してはwatch and see policyが妥当であることを述べた.
  • 伊藤 日女, 境田 博之, 村瀬 永策, 渡部 幸夫, 安部 明朗, 浅尾 武士
    1988 年42 巻12 号 p. 1176-1178
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    皮膚筋炎に肝病変を合併することはまれである. 私たちは, 皮膚筋炎に急性肝炎を合併し, さらに電顕上肝内giant mitochondriaを認めた症例を経験したのでここに報告する. 症例は57才女性. 主訴は掻痒を伴う皮疹と筋力低下. 入院時, 胸部・左上下肢に紫色の皮疹と眼瞼にheliotrope疹を認め, 左腋下にリンパ節を触知し, 肝脾触知せず, 筋力は近位筋優位の低下を認めた. 飲酒歴, 輸血歴なし. 主な検査としては, 赤沈亢進, CRP(+), RF(+), GOT・GPT・LDH・CPK上昇. 筋生検では筋炎の像, 肝生検では急性肝炎消退期の像であり, 電顕上giant mitochondriaを認めた. また, giant mitochondriaの局在も, グリソン鞘周辺や小葉実質内に多く, むしろ小葉中心帯には少なかつた. 本例は自己免疫疾患における肝内giant mitochondriaの存在と, その局在の特性が何らかの因果関係を示唆するものと思われ若干の文献的考察を加え報告する.
  • 斉藤 昭, 金丸 哲山
    1988 年42 巻12 号 p. 1179-1182
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は満期正常分娩5ヵ月男児. 生後3ヵ月ころより, 顔面, 両頬部に辺縁軽度隆起するびらん性の紅斑が出現, その後, 下痢, 脱毛を伴い, 陰股部, 四肢末端と拡大した. 血液検査にて, 血清亜鉛値15μg/dl, アルカリフオスフアターゼ値77IU/lと低値を示したため腸性肢端皮膚炎と診断.
    治療は硫酸亜鉛30mgを1日量として内服療法を行い, 患部には20%亜鉛華単軟膏貼布を行つた. 約1週間にて皮疹は乾燥治癒傾向を示し, 脱毛も改善した. 家族, 同胞内に同症なく, 内服中止後も再発を認めないため, 母乳栄養児に生じた続発性腸性肢端皮膚炎と診断した.
  • 森本 卓, 高塚 雄一, 小早 川清, 河原 勉, 石田 成伸, 森島 豊彦, 吉田 途男, 倉田 明彦
    1988 年42 巻12 号 p. 1183-1186
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    insulinomaの術前局在診断や術中腫瘍検索方法には多くの報告がみられる. 著者らは, 超音波検査と腹部血管造影にて, 術前に局在の判明した症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した.
    症例は22才の女性で, 主訴は意識消失発作. 血中インスリン値は軽度上昇のみであつたが, 絶食試験, グルカゴン負荷試験で, insulinomaと診断された. 超音波検査, 腹部血管造影にて膵尾部に腫瘍像がみられた. 膵体尾部・脾合併切除を施行し, 術中は人工膵モニタリングにて腫瘍切除を確認した. 術後経過は順調で, 現在外来にて経過観察中である.
  • 西野 聡, 佐々木 稔, 縄田 万寿美, 木全 康良, 松下 捷彦
    1988 年42 巻12 号 p. 1187-1190
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は67才の男性で, 全身倦怠感, 37℃台の発熱, 体重減少を主訴に, 肺結核を疑われて入院. Na投与に反応しない低Na血症を呈し, 精査の結果, 肺結核に合併したSIADHと診断. 3者併用による化学療法と水摂取制限により治癒せしめた.
  • 山根 哲実, 桐本 孝次, 藤田 雅敏, 榎本 泰明, 戸田 環, 稲垣 充也, 児玉 安紀, 勇木 清
    1988 年42 巻12 号 p. 1191-1194
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    頭蓋内原発の胚細胞腫瘍はまれな疾患である. 我々はトルコ鞍部に発生した複合組織型胚細胞腫瘍の1例を経験したのでここに報告する.
    症例は13才男児. 頭痛, 嘔気, 嘔吐を主訴に当院を受診し, 頭部CTおよび頭部MRIでトルコ鞍部の腫瘍を指摘された. 血液生化学検査でalpha-fetoprotein (AFP)とhuman chorionic gonadotropin (HCG)がともに高値であり, 下垂体機能検査で汎下垂体機能低下が認められた. 腫瘍摘出術が施行され, その病理組織診断は精上皮腫, 卵黄嚢腫瘍, 絨毛癌よりなる複合組織型の胚細胞腫瘍であつた. 手術材料の免疫組織化学的検討で, AFPとHCGの腫瘍内局在を証明しえた. AFPとHCGがともに高値を示し, さらにそれらの腫瘍内局在を明らかにした報告は極めて少ないので, 病理学的検討を加えて報告する.
  • 木元 克治, 岩瀬 正典, 菊池 正統, 伊東 靖夫, 吉住 孝之
    1988 年42 巻12 号 p. 1195-1197
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    65才女性が頭部外傷9日後傾眠となり, 頭部computed tomography (CT scan)で右後頭葉血腫と両側の硬膜下水腫を認め, 保存的治療で軽快していた. 外傷80日後に, 見当識障害と右上下肢不全麻痺をきたし, CT scanで左硬膜下血腫を認め, 血腫の吸引洗浄を行つた. 外傷102日後のCT scanで新たに右側の硬膜下血腫を認めたが経過観察を行い, 1年後のCT scanでは血腫は認めがたくなつていた.
    以上のことから硬膜下水腫をみた場合, 硬膜下血腫の続発に注意すべきことを強調した.
  • 12. 肺真菌症の化学療法
    永井 英明, 宍戸 春美, 米田 良蔵
    1988 年42 巻12 号 p. 1198-1202
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1988 年42 巻12 号 p. 1203
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1988 年42 巻12 号 p. 1203a-1204
    発行日: 1988/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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