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血清中のAFPとHCGがともに高値を示したトルコ鞍部混合型胚細胞腫瘍の1例:臨床病理学的検討
山根 哲実桐本 孝次藤田 雅敏榎本 泰明戸田 環稲垣 充也児玉 安紀勇木 清
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1988 年 42 巻 12 号 p. 1191-1194

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抄録
頭蓋内原発の胚細胞腫瘍はまれな疾患である. 我々はトルコ鞍部に発生した複合組織型胚細胞腫瘍の1例を経験したのでここに報告する.
症例は13才男児. 頭痛, 嘔気, 嘔吐を主訴に当院を受診し, 頭部CTおよび頭部MRIでトルコ鞍部の腫瘍を指摘された. 血液生化学検査でalpha-fetoprotein (AFP)とhuman chorionic gonadotropin (HCG)がともに高値であり, 下垂体機能検査で汎下垂体機能低下が認められた. 腫瘍摘出術が施行され, その病理組織診断は精上皮腫, 卵黄嚢腫瘍, 絨毛癌よりなる複合組織型の胚細胞腫瘍であつた. 手術材料の免疫組織化学的検討で, AFPとHCGの腫瘍内局在を証明しえた. AFPとHCGがともに高値を示し, さらにそれらの腫瘍内局在を明らかにした報告は極めて少ないので, 病理学的検討を加えて報告する.
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