医療
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常位胎盤早期剥離の産科学的意義に関する検討
―最近12年間の胎盤早剥47例における臨床統計ならびに治療に関する考察―
島 功池野 暢子渡辺 正昭遠藤 紘高橋 克幸
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1988 年 42 巻 4 号 p. 320-324

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抄録

当院における最近12年間の胎盤早剥47例について, 産科学的意義に関し統計的観察を行つた. 発症頻度は0.49%であつた. 分娩様式と児の予後との関係では, 経腟分娩は28例59.6%で, うち生産は23例82.1%, 死産は5例17.9%, 帝王切開分娩は19例40.4%で, うち生産は14例73.7%, 死産は5例26.3%であつた. 母体合併症と児の予後との関係では, 重症妊娠中毒症の合併は7例14.9%, DICの合併は6例12.8%であつた. DICを合併した6例では生産2例33.8%, 死産4例66.7%で, DICを合併しない41例では生産35例85.3%, 死産6例14.6%であつた. Porro手術は反復胎盤早剥1例を含むDIC合併4例に施行された.
胎盤早剥の治療の要点は, 低線維素原血症(凝固能低下期)すなわち血管内凝固(臓器障害)の対策が最も重要である. 臨床的に遭遇する胎盤早剥の大部分は消費性凝固障害の状態にあるため, ヘパリン療法はむしろ禁忌と考えられる.

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