医療
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糖尿病の運動療法における代謝, 内分泌反応について
津下 一代戸谷 有二新実 光朗
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1988 年 42 巻 8 号 p. 695-701

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抄録
運動療法は糖尿病治療の基本であるが, 運動処方に関してはいまだ試行錯誤の域を越えていない. NIDDM66名(男42名, 女性24名:平均52才)を対象に自覚強度50%の歩行運動を30分間行わせ, その前, 後に採血, 糖, 脂質, アミノ酸代謝, GH, cortisol, IRIの変化について検討した. (結果) 1)全例では血糖は245±80mg/dlから190±79mg/dlへ下降, 乳酸, アラニンは増加したが, NEFA, 総ケトン体は有意の変化がなかつた. 2)運動後のGHは4.5±4.0ng/mlと有意に増加, IRIは低下した. 4)血糖コントロール不良例では運動前よりNEFA, 総ケトン体が高かつた. 運動による血糖, IRIの低下が乏しく, GHの増加が著しかつた.
以上より血糖コントロールが悪い状態での運動では充分な効果があがらないばかりか, GHを上昇させ血管系合併症を進行させる可能性もあるため, 血糖コントロールを優先させる必要がある. 運動療法の実施にあたつてはメデイカルチエツクが必要と思われる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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