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脳動脈瘤破裂急性期における脳室内出血の検討
高橋 慎一郎園部 真甲州 啓二
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1988 年 42 巻 9 号 p. 826-829

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抄録
脳動脈瘤破裂による脳室内出血(IVH)の病態と臨床経過を比較検討した. 対象はSAH発症72時間以内にCTを施行した破裂脳動脈瘤187例である. IVHはCTにて判定し, IVHはventricular rupture(VR)とventricular influx(VI), さらにIVHの程度によりGradelよりGrade 5まで分類した. IVHは65例(35%)にみとめられ, VRは37例, VIは28例であつた. VRの症例は圧倒的にACOMA ACAの動脈瘤であつた. over all mortalityをみると, IVH(+)群は61.5%, IVH(-)群は24.6%であつた. また, SAH発症48時間以内の直達手術のoutcomeをみると, poor, deadの占める率がIVH(+)では41%, IVH(-)では18%であり, さらにIVH(+)のなかではVRが63%, VIが17%とIVH(+)の群特にVRの群の予後が悪かつた. これらの結果をふまえ, IVHが予後不良因子として働くメカニズムについて考察を加えた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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