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ハンセン病患者の褥瘡および穿孔性潰瘍に対するインシユリン・シユガー軟膏の治療効果
津本 幸之助岩永 恭生種子島 岩男
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1989 年 43 巻 1 号 p. 113-115

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抄録
砂糖とインスリンを主薬とするインスリン・シユガー軟膏(以下「ISO軟膏」と略す)を試作し, ハンセン病患者の穿孔性潰瘍および褥瘡への応用を試みた. 対象は昭和61年から62年までの穿孔性潰瘍あるいは褥瘡を生じた7症例である.
結果は7症例中6例は著効ないし有効であつた. 外用1~2週間後には新たな肉芽形成がみられ, 4~6週間後には陥没部はすべて肉芽組織で埋められ, 周辺から表皮化が認められた. 8~12週間後には潰瘍は治療前の約半分まで縮小し, 4~5ヵ月後には治癒した.
ISO軟膏は肉芽形成を促進し, 表皮化を早めるようにおもえた.
本剤は調製が簡便でハンセン病患者の穿孔性潰瘍のみならず, 一般の褥瘡や糖尿病性皮膚潰瘍への適応も可能と考えられる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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