1989 年 43 巻 11 号 p. 1140-1144
1977年より1987年までの11年間に, 前立腺肥大症手術を施行した症例のうち, 分析可能な476例を対象とし, 術後の膿尿の経過と膿尿正常化を阻害する諸因子について分析を行つた. 手術術式は被膜下前立腺摘出術96例, TUR-P380例である.
膿尿の正常化に影響を与える因子として手術術式, 年令, 術前尿路感染, 前立腺重量及び術後の合併症を検討した.
その結果自験例における術後の膿尿の経過は被膜下前立腺摘出術群で平均尿正常化日数は76.5日, TUR-P群で65.9日と被膜下前立腺摘出術群の膿尿の正常化は有意に遷延した.
また年令, 術前の尿路感染, 前立腺重量及び術後の合併症も術後の膿尿の正常化を阻害する因子となることが判明した.
これら術後の尿路感染を防止するためには, 術前術後の尿路管理, 特に術前の尿路感染の防止と術後の無菌的なカテーテル操作が必要と考えている.