医療
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43 巻, 11 号
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  • 塚本 秀人, 八十川 要平, 茂木 浩子, 伊藤 義也, 古波倉 史子, 箕浦 宏彦, 秋山 憲義, 高橋 俊毅, 松本 悦雄, 三島 健, ...
    1989 年43 巻11 号 p. 1124-1128
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1985年~1988年までの4年間に国立相模原病院で脾摘出術を行つた遺伝性球状赤血球症の7例におけるその治療効果と胆石の合併について検討した. 手術時の年令は6才~56才(平均23.3才)で, 小児4例, 成人3例であり, 性別は男5例, 女2例であつた. 小児の4例については家族歴から遺伝関係が明らかであつた. 胆石合併例は7例中5例で, 33才時に他院で胆嚢摘出術を受けていた1例を除く4例は, 今回の脾摘時に胆嚢摘出術を付加した. うち3例には胆石の赤外線吸収スペクトル分析を行い, 2例がビリルビンカルシウム石, 1例が黒色石であつた. 脾摘前後の赤血球数と血清総ビリルビン値の変動をみると赤血球数は術後1~2ヵ月で有意に増加し, ビリルビン値は術後1週で有意に低下しており, その後はどちらも安定していた. 術後7ヵ月~3年8ヵ月の経過において脾摘後の重症感染症などの合併症はみられなかつた.
  • 東 輝一朗, 島田 達也, 森岡 由紀, 山内 穣滋, 田代 賀子, 小畑 伸一郎, 木村 圭志, 紫藤 忠博
    1989 年43 巻11 号 p. 1129-1133
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    原発性副甲状腺機能亢進症24例を対象に, 種々の非侵襲的部位診断法の有用性について検討した. 腫瘍の触診可能例は, 血清カルシウム(Ca)値が著明に高く(13.0±1.7mg/dl, mean±SD), 副甲状腺腫の重量が2.0g以上の症例にほぼ限られた. 超音波検査では, 0.5g以上の症例(A群)の全例を検出したが, それ以下の症例(B群)では, 40%を検出しえたのみであつた. A群の血清Ca値(12.8±1.3mg/dl)は, B群の血清Ca値(11.3±0.6mg/dl)と比較して有意の高値を呈した(p<0.01). 201T1, 99mTc併用シンチ検査では, A群の93%, B群の50%を検出した. なおCT検査による検出率は, A群で77%, B群で29%と画像診断法のなかで最も低い値を示した. 局在診断の際, 合併した甲状腺疾患によりfalse positiveが生じたが, この点に注意すれば, 0.5g以上の副甲状腺腫の検出には, 超音波検査およびシンチ検査がきわめて有用とおもわれた.
  • 北條 史彦, 田垣 茂, 早乙女 和幸, 小畑 司, 片山 明
    1989 年43 巻11 号 p. 1134-1139
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌95例について各種腫瘍マーカー(CEAS, CEAZ, SLX, SCC, NSE, CA19-9, CA 125, TPA)を測定し, 補助診断法としての有用性について検討した. CEAZとTPAが50%以上の陽性率を示した. 陽性率は低いもののSLX, SCC, NSEはそれぞれ腺癌, 扁平上皮癌, 小細胞癌で高く, 組織特異性を示した. 臨床病期別では各腫瘍マーカーとも病期の進行に従い高値となる傾向を示したが, SCCはstage Iより比較的高値をとり, 臨床病期間で差は認められなかつた. CEA, TPA, SLX, SCC, NSEを用いcombination assayを行つたところ, CEAZ+TPAの組合せで81.7%, CEAZ+SLX+SCC+NSEで76.7%の陽性率であつた. 肺癌診断時の腫瘍マーカーとしては, CEA, SLX, SCC, NSEの組合せがよいと考えた.
  • 井田 時雄, 志村 英俊
    1989 年43 巻11 号 p. 1140-1144
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1977年より1987年までの11年間に, 前立腺肥大症手術を施行した症例のうち, 分析可能な476例を対象とし, 術後の膿尿の経過と膿尿正常化を阻害する諸因子について分析を行つた. 手術術式は被膜下前立腺摘出術96例, TUR-P380例である.
    膿尿の正常化に影響を与える因子として手術術式, 年令, 術前尿路感染, 前立腺重量及び術後の合併症を検討した.
    その結果自験例における術後の膿尿の経過は被膜下前立腺摘出術群で平均尿正常化日数は76.5日, TUR-P群で65.9日と被膜下前立腺摘出術群の膿尿の正常化は有意に遷延した.
    また年令, 術前の尿路感染, 前立腺重量及び術後の合併症も術後の膿尿の正常化を阻害する因子となることが判明した.
    これら術後の尿路感染を防止するためには, 術前術後の尿路管理, 特に術前の尿路感染の防止と術後の無菌的なカテーテル操作が必要と考えている.
  • ―心理学的所見の概観及びその身体所見, 生きがいとの関連について―
    升田 慶三
    1989 年43 巻11 号 p. 1145-1156
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立療養所原病院筋ジス病棟開設以来のDuchenne型筋ジストロフィー症患者の心理検査(知能及びY-G性格検査)のデータを集計して検討した. 第一に, Y-G性格検査の所見ではC型(安定適応, 消極型)が多く, D型(安定, 積極型)が少なかつた. 年令的変化では, 年令がすすむとともに, B型(不安定, 不適応, 積極型)が減り, A型(平均型, 特徴を示さぬ目立たない型)が増えている. 第二に, 身体的所見(肥痩, 側彎)や死亡原因, 死亡年令が心理的要因に影響されている可能性を検討し, 若干の関連をみた. 第三に, 筋ジス患者の療養生活と生きがいの問題を追及するための予備的な方法として, 過去の死亡DMDの生活意欲と心理要因の関係を検討し, IQとの関連を認めた. 今後は心理検査に投影法も加え, 心理面のより精密なデータをもとに検索を続行する.
  • ―悩みの分析から―
    井上 明子, 井上 有史, 鈴木 節夫, 渡辺 裕貴, 八木 和一, 清野 昌一
    1989 年43 巻11 号 p. 1157-1162
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    成人てんかん患者200人に意識調査を行い, 悩みについて分析した. 悩みとして選択された項目をクラスター分析により8種に分類した. 1. 発作をめぐる悩みはもつとも多く, 続いて, 2. 社会の無理解, 3. 結婚の悩み, 4. 就職の悩み, 5. 抗てんかん薬の副作用, 6. 治療継続の負担, 7. 対人関係・性格の悩み, 8. 日常生活・家庭での悩み, の順であつた. 1の発作をめぐる悩みはさらに3群, 1)発作発生の予測困難, 発作中の行動の不安, 2)社会を意識した悩み, 3)身体へ向かう悩み, に分けられた.
    これらの悩みの選択と, 患者の病態および調査票の他の質問項目の回答との関係を検討し, てんかんの心理社会的問題の背景を考察した.
  • ―過去5年間の入退院時のADLを中心として―
    足立 克仁, 木村 千代美, 米田 賢治, 上田 由利子, 井上 智子, 乾 俊夫, 登 頴子, 渡辺 八重子, 高井 明美, 前田 幸子, ...
    1989 年43 巻11 号 p. 1163-1166
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    本院入院の過去5年間の神経難病患者(148例)の実態を示す. 神経難病患者の在院患者数は毎年増加し現在54例である. 各年の新入院患者数は平均25例, 退院者は19例であつた. 本症の総退院患者94例の在院期間は平均13ヵ月であり, 現入院患者では平均38ヵ月にも及んでいる. 死亡例は5年間で26例, うち剖検例は9例(35%)であつた. 疾患別では, パーキンソン病(PD)が最も多く44例(30%), 次いで脊髄小脳変性症(SCD)が28例(19%), 筋萎縮性側索硬化症(ALS)が19例(13%), ALS以外の運動ニユーロン病(MND)が21例(14%)などであつた. これら患者の入院時の日常生活動作(ADL)は, ベツト上での生活を強いられている患者が97例(65%)と著しく障害されていた. さらに上記4疾患について退院時と比較してみると, 改善例はPDにのみ33例中13例にみられ, 悪化例はALSで15例中13例(うち死亡例12例)であつた. 不変例はSCDとMNDで多く, それぞれ12例中9例, 14例中11例であつた.
  • ―国立呉病院の現状―
    田中 昭吉, 古川 哲也, 谷川 清澄, 石本 三洋
    1989 年43 巻11 号 p. 1167-1171
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    現在, 多くの施設で薬物血中濃度モニタリング(TDM)が導入され薬物療法をより適正な方向に導いている. 本報告において国立呉病院のTDMを紹介する. 入院, 外来とも患者の検体は直接薬局にとどけられ, 当院薬剤師はその緊急度に応じすぐに測定することもある. 測定結果はすぐに依頼医師に送り帰される. 測定薬剤はフエニトイン, フエノバルビタール, カルバマゼピン, バルプロ酸ナトリウム, ジゴキシン, テオフイリン, ゲンタシン, アミカシン, リチウムの9品目である. 測定値の解釈は一般に各薬剤の治療域を参照にし, 臨床症状を勘案しながら担当医師と協議しながら行つている. また, 剤型変更後, あるいは投与方法後の予測血中濃度の提供も行つている. 臨床データから得られた結果について, 動物実験による追試も行つてデータ解釈の一助としている. 最後にこのTDMを発展させるのには医師をはじめとする医療チームのコミユニケーシヨンの必要性を強調した.
  • 国立療養所小児慢性疾患の治療と管理に関する研究会
    1989 年43 巻11 号 p. 1172-1176
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立療養所27施設において1987年8月現在までに経験した18才以下の末期腎不全患者118例についてアンケート調査を行つた. 原疾患は一次性糸球体疾患62例, 二次性糸球体疾患11例, 先天性腎尿路奇形19例, アルポート症候群10例, 慢性腎盂腎炎8例, その他7例で, 6~9才での発症・発見が37例と多く, 集団検尿による発見は約30%であつた. 導入方法はHD71例, IPD 28例, CAPD 15例で, 近年CAPDが急増の傾向にある. 36例が腎移植(生体腎32例, 死体腎3例)に移行し, 22例で生着しており, 61例が透析で生存, 17例が死亡, 16例が転帰不明であり, 生存率は1年91.6%, 3年81.6%, 5年78.8%である. 合併症として貧血(78.7%), 高血圧(28.7%), 骨障害(25.5%)が多い. 死亡原因として, 脳出血(7例)が最も多く, ループス腎炎例での死亡率が高かつた. 早期発見, 診断, 治療管理上の問題点の考察を行つた.
  • 佐尾山 信夫, 吉田 冲, 津田 洋, 乾 浩三, 河田 健介, 先山 正二, 増田 裕, 深田 義夫, 大浦 正博, 村上 剛
    1989 年43 巻11 号 p. 1177-1180
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    近年, 微小血管吻合の進歩により, 下咽頭頸部食道癌の再建方法として遊離空腸移植が安全に行われるようになつた. 最近, 我々も73才, 女性の下咽頭頸部食道癌症例に頸部食道再建として遊離空腸移植術を施行し, 良好な経過を得た. 本稿では, その手術手技および術後管理を中心に本術式の有用性および問題点について報告した.
  • 渡会 伸治, 米沢 健, 山岡 博之, 渡辺 桂一, 那珂 端和
    1989 年43 巻11 号 p. 1181-1185
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腫瘍内にOK-432を局注することにより所属リンパ節の抗腫瘍性免疫能の改善または増強が可能かどうか, 胃癌手術の際に所属リンパ節を採取し, T-cell亜群(monoclonal抗体を用いて測定)ならびにIL-2産生能・IL-2に対する反応性を測定し, 検討した.
    その結果, OK-432局注群では, 近位リンパ節でhelper inducer T-cellに相当するCD4+4B4+細胞の比率が増加し, 遠位リンパ節リンパ球のIL-2産生能ならびにIL-2に対する反応性も高まつていた.
    術前OK-432腫瘍内投与は, 近位のみならず遠位のものまでリンパ節リンパ球の抗腫瘍的な免疫反応を増強していた. この方法は免疫能の低下する術後早期の微小転移の防止や縮小手術の補助療法として有用と考えられた.
  • 伊藤 義也, 八十川 要平, 古波倉 史子, 塚本 秀人, 箕浦 宏彦, 秋山 憲義, 高橋 俊毅, 浅尾 武士
    1989 年43 巻11 号 p. 1186-1189
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    石灰化をきたす胆嚢病変としては陶器様胆嚢が知られているが, 癌組織自体に石灰化をきたす石灰化胆嚢癌もまれながら存在する. 最近, 石灰化胆嚢癌を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
    症例は80才の男性で黄疸を主訴に来院.腹部X線検査で右上腹部に斑状の石灰像を認めた. 閉塞性黄疸をきたしていたので, PTCDを施行し, 一たんは軽快した. しかし, 黄疸が再出現したので再入院したが, 手術は断念せざるを得ない状態で, 患者は全身衰弱で死亡した. 剖検で肝門部まで直接浸潤した石灰化胆嚢癌であることがわかり, この石灰化は癌組織の存在する部位およびリンパ節転移巣に認められた.
  • 芦沢 和人, 草野 敏臣, 古川 正人, 中田 俊則, 林 〓欽, 渡部 誠一郎, 田代 和則, 糸瀬 薫, 城野 英利, 松岡 陽治郎
    1989 年43 巻11 号 p. 1190-1194
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当院において3年6ヵ月の間に, 来院時腹部CTを施行した腹部外傷38例中24%にあたる9例の肝外傷を経験した. そのうち, 腹部所見が進行するもの, あるいは急速輸液にても, シヨツク状態が改善しないもの(自験例は4例)を緊急開腹術の適応とし, その他のものは, 厳重な経過観察による保存的療法にて全例軽快退院した. うち1例は, 遅発性破裂をおこしたがTAEにて止血に成功し, また胆汁腫を合併した症例は, 経皮経肝ドレナージにて治癒期間を短縮できた. 画像上重症と思われる肝損傷が, 直接患者の重症度を反映しておらず, 常に患者の全身状態の把握に基づいた開腹の決定が重要で, 保存的療法の適応はさらに拡大されていくとおもわれた.
  • 谷口 正彦, 大口 善郎, 福田 宏嗣, 松宮 護郎, 川口 学永, 荻野 信夫, 越智 昭博, 大下 征夫, 小林 春秋男, 高尾 哲人, ...
    1989 年43 巻11 号 p. 1195-1198
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    クローン病の合併症として穿孔の発生は少なく, その頻度は1~3%であるといわれている. 最近穿孔性腹膜炎のため緊急手術を施行した回腸クローン病を経験したので報告する. 症例は16才, 男性. 体重減少, 下腹部痛にて来院, 精査目的にて入院となつた. 入院後, 腹部腫瘤と発熱が出現, 上部消化管造影にてクローン病の所見を得た. 造影直後から腹膜刺激症状が出現, 徐々に増強したため, 翌日緊急手術を行つた. 開腹すると, 中下腹腔内を占める超手拳大の炎症性腫瘤を認め, その一部に穿孔を認めた. 病変部を含む約75cmの回腸を切除した. 術後経過は良好で術後52日目に退院となり, 術後12ヵ月目の現在, プレドニン, サラゾピリン投与にて外来通院中である.
  • 三宅 修, 細見 昌弘, 松宮 清美, 岡 聖次, 高羽 津, 倉田 明彦
    1989 年43 巻11 号 p. 1199-1202
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    急性腎後性腎不全を呈した特発性後腹膜線維症の1例を経験したので報告する.
    53才男性が1987年3月腰痛と体重減少を主訴に近医を受診し, 両側水腎症を指摘された. 7月には他院でBUNとCrnの上昇が認められたため, 7月24日当科へ緊急入院となつた. 逆行性腎盂造影で両側尿管狭窄が認められ, ただちに経皮的に右腎瘻を造設, 2週後には左腎瘻も造設した. 腹部CT, 血液検査所見から後腹膜線維症が疑われ, 8月24日腫瘤生検と両側尿管剥離術を施行し, 病理組織学的に腫瘤は非特異的線維性組織で, 自験例は特発性後腹膜線維症と診断された. 術後プレドニソロンの内服投与を行い, 87日目に略治退院した.
    本症と自己免疫疾患とのつながり, およびその治療法について考察する.
  • 後藤 正義, 岡嶋 泰一郎, 加藤 堅一
    1989 年43 巻11 号 p. 1203-1206
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    原発性甲状腺機能低下症の補充療法中に, Addison病を発症し, 副腎皮質ホルモン剤の早期補充により, 順調に回復した症例を経験したので報告する.
    症例は74才女. 1973年原発性甲状腺機能低下症と診断され, 以後, 乾燥甲状腺末30mg/日を服用. 1988年4月ころより, 食欲低下, 全身倦怠感, 全身色素沈着が出現し, 血中cortisol低値, ACTH高値を認め, Addison病を疑われ, 同年6月当科入院. 副腎機能検査で皮質全層と髄質の機能低下, 抗副腎抗体陰性, 両側副腎腫大, ツ反応陽性, および肺野に石灰化像を認めたことから, 結核性Addison病と考えられた. その後, 乾燥甲状腺末30mg/日に加えてhydrocortisone 25mg/日の補充により, 血中ACTHは低下し, 色素沈着, 倦怠感は改善した. 原発性甲状腺機能低下症に結核性Addison病の併発はまれと考えられるが, その合併機序は不明である.
  • 山崎 正策, 山口 克彦, 藤田 泰之
    1989 年43 巻11 号 p. 1207-1210
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    重症心身障害児病棟に入所中の障害児(者)の染色体分析検査の結果, いくつかの変質徴候を認める24才, 女性の, 18番目染色体短腕に過剰分位を認めた(46XX. 18p+). 父親の染色体検査の結果, 1番目染色体長腕と18番目染色体短腕間が転座している均衡型相互転座であつた. したがつて本症例は, 1q部分トリソミーであることが判明した. 本症の臨床像は一様ではなく, またトリソミーの分位と合併する奇形との相関も判然とはしていないが, これには, 合併するモノソミーによる臨床像の修飾が大きく関与しているものと考えられた.
  • 名取 徳彦, 古山 美智子
    1989 年43 巻11 号 p. 1211-1213
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    高頻度の姉妹染色分体交換(Sister chromatoid exchange; SCE)と痙攣発作を合併したSchönlein-Henoch紫斑病の1例を経験したので報告する. 症例は13才の男児, 上腹部痛と嘔気にて発症, その後眼瞼浮腫, 顔面紅斑, 血便, 血尿, 強直-間代性痙攣が出現したことよりSchönlein-Henoch紫斑病と診断された. 検査所見では血清蛋白低下, α2-グロブリン上昇, 抗核抗体疑陽性, 尿潜血陽性, 尿蛋白18mg/dl, 脳波では全般性の発作性徐波, 腎生検ではメサンギウムの増殖とIgA, IgM, フイブリノーゲンの沈着が認められた. 染色体検査では両親とともに高頻度のSCEが認められた. 痙攣発作を合併したSchönlein-Henoch紫斑病の症例において高頻度のSCEが認められたことから, 痙攣発作の発現機序への関与が推定された.
  • 中西 豊文, 中井 一吉, 塩見 壽太郎, 船橋 修之, 全 明, 船井 龍彦, 橋本 武則
    1989 年43 巻11 号 p. 1214-1216
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    FAB/MSによる尿中スフインゴ糖脂質分析の結果, Fabry病(α-ガラクトシダーゼ欠損症)と化学診断し得た症例を経験した. 患児は12才の男児で幼少より発汗障害, 四肢疼痛発作, 熱発などが持続し被角血管腫が認められた. 尿沈査抽出物のケイ酸カラムクロマトグラフイーにより得られた各分画をFAB/MSの試料とした. マトリツクスに0.01 N-NaOH含有トリエタノールアミンを用いて分析を実施したところm/z 1158, 1156, 1130に構成脂肪酸としてC24:0, C24:1, C22:0を有するセラミドトリヘキソシド(CTH)の擬分子イオン[M+Na]+が強く検出された. このFAB/MS法は, Fabry病以外の先天性リソゾーム酵素欠損症の早期発見あるいは確定診断法に十分応用可能とおもわれた.
  • 11. 閉胸式心マツサージ
    永井 一成, 榎本 尚美
    1989 年43 巻11 号 p. 1217-1220
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1989 年43 巻11 号 p. 1221
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1989 年43 巻11 号 p. 1222-1224
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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