1989 年 43 巻 11 号 p. 1145-1156
国立療養所原病院筋ジス病棟開設以来のDuchenne型筋ジストロフィー症患者の心理検査(知能及びY-G性格検査)のデータを集計して検討した. 第一に, Y-G性格検査の所見ではC型(安定適応, 消極型)が多く, D型(安定, 積極型)が少なかつた. 年令的変化では, 年令がすすむとともに, B型(不安定, 不適応, 積極型)が減り, A型(平均型, 特徴を示さぬ目立たない型)が増えている. 第二に, 身体的所見(肥痩, 側彎)や死亡原因, 死亡年令が心理的要因に影響されている可能性を検討し, 若干の関連をみた. 第三に, 筋ジス患者の療養生活と生きがいの問題を追及するための予備的な方法として, 過去の死亡DMDの生活意欲と心理要因の関係を検討し, IQとの関連を認めた. 今後は心理検査に投影法も加え, 心理面のより精密なデータをもとに検索を続行する.