抄録
昭和41年から昭和60年までの国立国府台病院精神科入院患者の死亡について調査した. 死亡総数99名(男52名, 女47名), 年平均粗死亡率16.6(男15.6, 女18.0)であつた. 死亡数・死亡率共に昭和41年以降50年代前半まで増加し, その後変わらなかつた. 若年層では昭和50年代前半まで増加し, その後低下したが, 老年層では一貫して増加し続けた. 死因では, 自殺が最も多く28%を占め, 肺炎及び気管支炎12%. 悪性新生物と心疾患が各9%, 脳血管疾患8%, 精神病7%と続き, 23項目の死因に分類された. 若年層の死因は自殺が圧倒的に多かつたが, 老年層では肺炎及び気管支炎, 心疾患, 脳血管疾患, 精神病などが上位を占めた. 精神疾患別死亡数では, 精神分裂病47名, 躁鬱病10名, 器質精神病9名, 老年精神病8名と続いたが, 死亡率では症状精神病が最も高く, 老年精神病, 非定型精神病, 中毒精神病, 器質精神病が高く, 精神分裂病は神経症に次ぐ低率であつた.