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木下 研一郎
1989 年43 巻4 号 p.
399-404
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
これまでの研究結果, HTLV-Iの母子感染経路として母乳感染が確実となつた.
したがつてキヤリア母親の母乳を中止し, 人工栄養にかえることで母子感染を予防することが可能であり, ひいては成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia:ATL)の発症予防に役立つものと考えられる.
しかし, 人工栄養による母子感染予防には母親本人の心理的, 家族的, 社会的問題や人工栄養による小児側への影響など多くの問題点が生じてくる.
HTLV-Iの母子感染予防を実りあるものにするためには, これらの問題を十分配慮しつつ予防対策が推進されることを期待したい.
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道端 哲郎, 渡辺 俊明, 森本 和大, 三枝 正裕
1989 年43 巻4 号 p.
405-410
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
1972年4月から1986年3月までに, 国立療養所中野病院において, 228例の人工弁置換術を行つた. 僧帽弁置換術は108例, 大動脈弁置換術は80例, 大動脈弁置換術+僧帽弁置換術は39例, 三尖弁置換術は1例であつた. 早期死亡は全体では18例(7.9%)で, MVR例では5.5%, AVR例では10%, AVR+MVR例では10%であつた. cardioplegia, intra-aortic balloon pumpingを導入した1980年を境に前期, 後期に分けると, 早期死亡は前期16.7%, 後期5.6%と著明に減少した. しかしながら, MVR例では, cardioplegia使用前には認められなかつた左室後壁破裂が5例に発症し4例が死亡した. 遠隔期死亡は19例(8.3%)で不整脈による突然死, 抗凝固療法に基づく出血, 心不全が主因であつた.
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吉村 力也, 師富 邦夫, 赤星 隆一郎, 西浦 明彦
1989 年43 巻4 号 p.
411-415
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
血行動態モニターのためにSwan-Ganzカテーテルを血管内に留置した17例について, カテーテル留置中と抜去後の血小板数と凝固線溶系の変化について検討した. その結果, 1)カテーテルの留置により, 血小板数は挿入直前あるいは直後に比して, 1, 2日目には68%, 3日目には56%と有意に減少した. その後はカテーテル留置中にもかかわらず徐々に増加し, 11~14日目には86%まで回復した. カテーテル抜去後は挿入直前あるいは直後の値を越えて血小板数が増加し, 7~10日には145%に達した. 2)FDPは血小板数と逆の関係で変化し, フイブリノーゲンとATIIIは血小板数と類似の変動を示した. 3)カテーテルを大腿静脈より挿入した方が, 鎖骨下静脈より挿入した場合に比して, 血小板数の減少が強い傾向にあつた.
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木村 亮, 上田 英之助, 野間 啓造, 前倉 亮治, 田中 茂治, 奥本 毅, 島尻 博人, 川口 義彦, 螺良 英郎
1989 年43 巻4 号 p.
416-419
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
当院の慢性呼吸不全患者に在宅酸素療法(HOT)を施行し, その有用性および問題点を検討した. 本療法の対象となつた32例のうち, 開始後1年以上経過した19例について, 施行前後の肺機能値・血液ガス値を比較した. その結果%VCは軽度低下するが, 室内気吸入下でもPaCO
2の上昇なしにPaO
2が上昇するのが観察された. また, 酸素療法の生体に対する短期および長期的影響を調べる目的で, 右心カテーテル検査を施行した. その結果, 検査症例数は少ないが, 短期・長期とも平均肺動脈圧および心係数が低下する症例が多く認められた. 酸素投与後, 短時間での肺循環諸量の改善はこれまでの報告と同様であるが, HOT開始前後に右心カテーテル検査を施行することにより, 長期的にも循環諸量が改善する症例が多いことがわかった. また, HOT開始2年間に4例が死亡したが, いずれも基礎疾患の増悪によるものであつた.
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上野 一義, 井原 達夫, 加藤 功, 橋詰 清隆, 蓑島 聡, 吉本 哲之
1989 年43 巻4 号 p.
420-424
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
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近年脳梗塞に対する高気圧酸素療法(OHP)の有用性が報告されているが, いずれもコントロールのない治療成績である. われわれは昭和61年10月からOHPを開始したのを機にOHP施行後1年間の脳梗塞30例とコントロールとしてOHP導入前1年間の脳梗塞29例の治療成績を比較検討した.
意識障害と運動麻痺を合わせたneurologic score(NS)は発症1月以後OHP施行例の方がOHP非施行例より良く, 意識障害のみのNSはOHP施行例が, 運動麻痺のみのNSは非施行例の方が回復がよかつた.
CT上の梗塞巣別に比較すると, gylar infarctionではOHP施行例が劇的な回復を示した. lober infarctionでもOHP施行例のNSの改善はよかつたが内包付近に梗塞を認めるdeep infarctionではあまり差はなかつた.
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浦田 重治郎, 清水 順三郎, 高室 昌一郎, 渡辺 位, 石川 鉄男, 熊田 正義, 斎藤 万比古, 塚田 和美, 松原 公護, 渕崎 恭 ...
1989 年43 巻4 号 p.
425-432
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
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昭和41年から昭和60年までの国立国府台病院精神科入院患者の死亡について調査した. 死亡総数99名(男52名, 女47名), 年平均粗死亡率16.6(男15.6, 女18.0)であつた. 死亡数・死亡率共に昭和41年以降50年代前半まで増加し, その後変わらなかつた. 若年層では昭和50年代前半まで増加し, その後低下したが, 老年層では一貫して増加し続けた. 死因では, 自殺が最も多く28%を占め, 肺炎及び気管支炎12%. 悪性新生物と心疾患が各9%, 脳血管疾患8%, 精神病7%と続き, 23項目の死因に分類された. 若年層の死因は自殺が圧倒的に多かつたが, 老年層では肺炎及び気管支炎, 心疾患, 脳血管疾患, 精神病などが上位を占めた. 精神疾患別死亡数では, 精神分裂病47名, 躁鬱病10名, 器質精神病9名, 老年精神病8名と続いたが, 死亡率では症状精神病が最も高く, 老年精神病, 非定型精神病, 中毒精神病, 器質精神病が高く, 精神分裂病は神経症に次ぐ低率であつた.
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立石 正登, 網野 重雄
1989 年43 巻4 号 p.
433-438
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/12/02
ジャーナル
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重症心身障害児におけるphenytoin(以下「PHT」と略す)の投与計画に必要なpopulation pharmacokinetic parametersの設定およびPHTの体内動態に影響をおよぼす因子の検討のため, 重症心身障害児98名から集めた血中PHT濃度のデータ370をコンピューター・プログラムNONMEMを用いて解析した.
その結果, PHTのpopulation meanはVm(mg・kg
-1・day
-1);8.59, Km(μg. ml
-1);1.99であつた. またVmにおける個体間変動ωVmは34.2%(CV%), ωKmにおける個体間変動σKmは72.9%. 個体内変動σεは0.828mg・kg
-1・day
-1であつた. またVm, Kmともに性別と食事の影響は認められなかつた. しかしながら, 剤型はKmに対して影響をおよぼし, 血液試料はVmとKmに対してともに影響をおよぼすことがわかつた. また年令は6才未満がKmに, 6~19才はVmに影響をおよぼした.
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故倉 恵, 藤井 秀俊, 川上 明, 佐々木 義行, 沢野 哲重, 浅本 仁
1989 年43 巻4 号 p.
439-443
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
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日本において鎮痛解熱剤によつて誘発される気管支喘息の頻度は少ないとされてきたが, 諸家の報告によると欧米とほとんど変わらないようである. 鎮痛解熱剤による気管支喘息発作は意識障害を伴うほどの大発作に陥るのみでなく, 発作死を来した症例も報告されているほどである. 気管支喘息患者, 特に40才以上に発症し副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などを合併している症例については, 酸性の非ステロイド性鎮痛解熱剤の投与に際し, 十分な注意が必要とおもわれる.
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西村 典久, 川田 嘉二, 越川 亮, 尾原 善和, 飯田 伊佐男, 堀沢 欣弘, 尾川 義政, 古瀬 洋一
1989 年43 巻4 号 p.
444-448
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
著者らは昭和56年以来, 変股症例にもbipolar型人工骨頭を適用してきたが, 手術に際し, 臼蓋掘削や臼蓋形成術などの操作方法が問題となつたため, 臼蓋操作の程度について臨床的およびX線学的に検討を加えた.
対象症例は変股症25例27関節であり, 年令は平均56.8才, 追跡調査期間は平均1年7ヵ月である. 臼蓋操作の程度は, 斉藤らの分類に準じ4段階に分けた. 一方, それらに影響をおよぼすと考えられる項目として, 患者背景, 手術侵襲, 臨床成績および術後X線学的評価などを取り上げ, 統計学的に分析した.
臨床成績は, 総合点数では, 術後平均80点以上であり, 疼痛は著明な改善を示した. 術後合併症は, 感染, 脱臼, looseningなど重篤なものは認めていない. また, 臼蓋操作の程度によつでは, 臨床成績やX線学的評価に差異を認めなかつた. したがつて臼蓋操作を加えた変股症例でも, 相当の除痛効果と臼蓋の骨材料が温存できるため, 中高年層にも適応がある.
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新井 貞男, 大塚 嘉則, 山縣 正庸
1989 年43 巻4 号 p.
449-452
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
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大腿骨頸部骨折に対する観血的治療法は, Smith-Petersenの三翼釘固定法以来, 数々の方法がある. 本疾患は高令者に発生することが多いため, 全身状態不良下での安全な手術と早期離床による術後合併症の予防が重要となる. しかしながら, 強固な固定と手術侵襲は相反するものであり, これらを同時に満足する術式は少ない. そこで, Ace社製cannulated cancellous hip screwと, 新たに考案したプロテクターを用いmultiple pinningのもつ容易さとスクリユー固定のもつ比較的強固な固定の2つの性格を合わせもつた術式を考案した. これを用いることにより, 小侵襲で局所麻酔での手術も可能となり, 重篤な合併症を有した患者においても安全に手術を行うことができた.
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藤田 公生, 木村 哲, 斉藤 賢一, 北川 道夫, 古畑 哲彦, 宇山 健, 小倉 啓司, 上野 文麿
1989 年43 巻4 号 p.
453-455
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
国立病院8施設においてこの3年間に行われた経尿道印前立腺切除術985例を, 1980年から1984年に行われた1,416例と比較検討した. 術後死亡率は0.1%であり, 手術時間, 輸血量, 術後合併症の発生率などに改善がみられた.
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佐竹 弘, 西田 直生志, 直木 正雄, 雨森 正洋, 高野 邦子, 金岡 正樹, 生田 篤也, 小川 欽治, 清水 一良, 前川 高天, ...
1989 年43 巻4 号 p.
456-461
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
昭和60年1月以降の2年6ヵ月に, 国立京都病院で経験した1cm以下の大腸癌6例を報告した. 平均年令は60.3才, 男性5例・女性1例で, 6例中1例のみ有症状(下血)だつた. 同時に存在した病変は, 6例中4例に大腸ポリープ, 2例に大腸癌, 2例に胃癌を認めた. 腫瘍形態は, Type Iが3例, Type IIa+IIcが3例であつた. 注腸検査では, 1例のみ悪性と診断できた. 内視鏡所見は, Type IIa+IIcの3例は悪性と診断したが, Type Iの3例はいずれも良性ポリープとしてポリペクトミーされ, 組織診断で悪性所見を得たものであつた. 1cm以下でも隆起病変はポリペクトミーし, 全体を組織診断することが重要とおもわれた. 壁深達度は, Type IIa+IIcの3例中2例がpm, smで深部浸潤傾向を認めたのに対し, Type Iの3例はm癌であり, 早期大腸癌の発育形態は, 2通りのtypeが存在するとおもわれた.
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木村 真悦, 高野 真澄, 丸上 善久, 北條 正久, 菊山 成博, 矢野 義明, 橋本 敏夫, 富田 濤児, 西田 一巳
1989 年43 巻4 号 p.
462-464
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
従来, 脾嚢胞は比較的まれな疾患であつたが, 近年の画像診断の進歩により報告例が漸増している. 今回, われわれは総胆管結石に合併した脾仮性嚢胞の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
症例は74才の女性, 1975年に他院で胆嚢結石のため胆嚢摘出術を受けている. 1987年, 上腹部痛が出現したため当院に入院した. 術前検査で総胆管に結石があり, CTにて脾は著明に腫大し, 上極から外側の被膜下にIow density areaを認めた. 腹腔動脈造影では無血管野を呈した. 総胆管結石摘出後に摘脾を行い, 組織学的に仮性嚢胞と診断された.
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佐々木 廸郎, 荻田 征美, 赤坂 嘉宣, 内藤 春彦, 永瀬 厚, 阿部 厚憲, 後藤田 明彦, 新居 利英
1989 年43 巻4 号 p.
465-467
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
最近は直腸癌においても比較的早い病期の癌がみつかるようになり, 従来よりはリンパ筋郭清をひかえうるようになつたので神経温存手術が注目を集めるようになつてきた.
われわれも, 適応を選んで5例の患者に神経温存手術を行い, 術後の排尿障害をどの程度改善しうるかを検討した.
手術の要点は大動脈前面から骨盤腔にかけ腹膜下筋膜の浅層より深くに入らないようにすることと, 左右の中直腸動脈は根部で切離しないことであり, 検討項目は排尿訓練開始時期・尿意出現の時期と尿量・留置カテ抜去の時期・自排尿の安定した時期と残尿量などである.
その結果, 同時期の拡大郭清例に比較して機能回復の期間は1/2程度以上短く, 永久的な障害になるようなものは認められなかつた.
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中井 正二, 勝沼 俊雄, 近藤 隆二, 金本 秀之, 赤沢 晃, 小田島 安平, 小幡 俊彦, 飯倉 洋治
1989 年43 巻4 号 p.
468-472
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/12/02
ジャーナル
フリー
気管支喘息発作に対して, 手軽な酸素供給装置(O
2パツク®)を使用し, その効果をみた. 中等症の気管支喘息児8名に行い, ピークフロー値は有意な上昇を示し, 呼吸困難, 喘鳴など, 臨床症状も改善の傾向を認めた. 副作用は特に認めず, 総合臨床効果は, 著効3名, 有効3名, 不変2名であつた.
また, 気管支拡張剤吸入療法で酸素を併用したときの効果を検討した. 1秒量(FEV
1), V50, 努力肺活量(FVC)において, 予測値に対する%表示にて表わした変化を, 酸素を併用した群としない群とで検討した. 全体に, 酸素併用の方がよく改善される傾向にあり, 吸入前と吸入後の%FEV
1値の差による改善度では, 酸素吸入併用の方が有意に改善していた. 酸素投与による副作用はみられなかつた.
今後, 家庭内での気管支喘息発作時の酸素療法は, より広く行われてよい方法と考えられた.
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吉峰 史博, 石名田 洋一, 渡辺 邦夫
1989 年43 巻4 号 p.
473-476
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
母指の手根中手関節(以下「CM関節」と略す)の変形, 破壊による疼痛, 機能障害に対し, 人工関節置換術を3例4関節におこなつた. 症例1は両側OA例でCaffinière型を使用したが, 手をよく使用する仕事であり, 約1年後両側とも, loosening, 転位, 脱臼した.
第1CM人工指関節置換術は, 他の手術法に比べいくつかの利点もあるが, 現在使用されている数種ともlooseningを筆頭にいくつかの問題があり, 適応を限定する必要がある. デザイン, テクニツクとももつと改善することにより, 適応範囲を広げられ, 人工関節の利点とを合わせれば, よりよい第1指CM関節に対する手術法となるであろう.
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石倉 彰, 池田 正人, 小暮 祐三郎, 奥田 則彦
1989 年43 巻4 号 p.
477-480
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
高熱, 全身痙攣, 水頭症, 兎唇, 口蓋裂をともなう生後39日目の男児のholoprosencephaly(HP)を報告した. CTスキヤンは巨大単脳室, dorsal sacの存在と大脳縦裂, 大脳鎌の欠損を示し, alobar typeのHPであつた. alobar typeのHPは予後不良といわれ, 本例もV-Pシヤント直前に急死した. 発生原因として染色体異常も報告されているが患児は46XYで正常核型であつた. HPは, 胎生早期の3脳胞期における前脳の発育不全による脳の奇形といわれており, alobar, semilobar, lobar typeに分類されるが, HPのtypeを診断することは予後や治療の是非を決定するのに重要であり, CTスキヤンはその際もつとも有用である. 重篤な新生児においても安全, 迅速に脳室の形態, 脳実質の発達程度を知ることができる.
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―ACNUマイクロカプセル―
森山 忠良, 米倉 正大, 寺本 成美, 横尾 賢乗, 上野 篤司
1989 年43 巻4 号 p.
481-486
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
脳腫瘍の形態はCTやMRIの導入で正確性が増したものの, 悪性グリオーマに対する化学療法は種々工夫がなされているのに依然としてその予後は満足いくものでない. 今回我々は, 悪性グリオーマに対する抗腫瘍剤であるACNUをマイクロカプセル化することに成功したので臨床応用を試みた. 作製方法は相分離法の原理に基づいてACNU原末を芯物質にエチルセルロースを被膜とした微小マイクロカプセル(ACNUmc)を作り, このカプセルの状態をまず走査電顕で観察すると共に溶出試験を実施した. ACNUmcの溶出には2時間を要し一応の徐放性を示したことから, 再発悪性グリオーマの2症例に腫瘍内投与の臨床応用を試み, 何ら副作用なく臨床経過は予想以上によかつた. ところで今後は粒子径の問題, 長時間の徐放性など臨床上の問題は残されたが臨床応用の期待は大であった.
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佐々木 俊輔, 丸谷 盛雄, 杉山 明, 川口 憲二, 安原 高士, 三宅 周, 尾上 公昭, 河野 宏, 佐藤 仁吾, 黒瀬 和子
1989 年43 巻4 号 p.
487-491
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
交通事故による骨折を契機に消炎鎮痛剤, 抗生物質など6種の薬剤投与後に, 中毒性表皮壊死症と肝内胆汁うつ滞を発症した1例を経験したので報告する. 症例は23才の女性で, aspirin, sulindac, serratia peptidase, sulpyrine, 総合感冒剤のPGとmidecamycinの投与を受けたところ発熱, 咽頭痛, 肝機能異常と顕著なリンパ球減少がみられ入院した. 腹部, 背部, 四肢など広範囲に表皮剥離を生じ肝機能も増悪したがステロイドの投与により軽快した, リンパ球幼若化試験では6種すべての薬剤が陽性であつた. 腹腔鏡下肝生検では肝内胆汁うつ滞, ないし胆汁うつ滞型肝炎の所見がみられ, 胆肝系酵素の異常は発症後1年7ヵ月持続した.
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小竹 武, 角井 義昌, 荒川 正己, 脇 昌子
1989 年43 巻4 号 p.
492-495
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
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降コレステロール剤であるコレスチラミンは血糖コントロール改善作用をも有し, 高コレステロール血症を合併する糖尿病患者に対しては特に有用と考えられる. しかし陰イオン交換樹脂製剤であるコレスチラミンの特性上, 服薬のコンプライアンスが不良で薬効が明らかでない場合も多い. そこで我々は5人の糖尿病患者に個別にコレスチラミン服薬指導を行い本剤に対する認識を高め確実な服薬を図つた. その指導の効果を服薬調査票における服薬率とともに血糖, グリコヘモグロビン, 血清脂質などの血液検査により評価した. その結果, 服薬表による服薬率は指導前35%から指導後95%に改善した. また3例では指導後血糖コントロール, 血清脂質の改善がみられた. 以上よりコレスチラミン服薬指導は服薬コンプライアンスを改善しコレスチラミンの血糖コントロール改善作用や降コレステロール作用を高めたり, 薬剤効果を的確に評価する上で有用であると考えられた.
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4. 動脈穿刺法
永井 一成, 榎本 尚美
1989 年43 巻4 号 p.
496-500
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
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1989 年43 巻4 号 p.
501
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
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1989 年43 巻4 号 p.
501a
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
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1989 年43 巻4 号 p.
502-503
発行日: 1989/04/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー