1989 年 43 巻 5 号 p. 569-571
尿中ポリアミンは腫瘍の動態を反映する指標として, その診断, 治療効果, 予後の判定における有用性が注目されている.
本研究では, 乳腺良性腫瘍, 原発乳癌, 再発乳癌を研究対象とし, ポリアミンの酵素法による測定試薬を用いて, 患者の尿中総ポリアミン値の異常率と, 腫瘍の大きさ, 割面肉眼分類, リンパ節転移の個数および病期とを比較検討した.
その結果, 比較的早い病期における乳癌では, 尿ポリアミン排出量が腫瘤の大きき, リンパ節転移の個数などとは相関しないが, 再発乳癌では, 乳腺良性腫瘍と比較して有意に高値を示すことが認められた.