医療
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重度発達障害児の夜泣き, 興奮, 暴力などに対する漢方エキス剤の有用性について
岡島 幸代山田 武敏
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1989 年 43 巻 6 号 p. 700-703

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抄録

重度発達障害児の夜泣き, 興奮, 暴力などの対応には療育面での工夫が必要なことはもちろんであるが, 特に夜間は人手の問題もあつておもうにまかせない. 抗痙攣剤を必要とする児が大部分であり, トランキライザーの併用は, 副作用をさらに増やすおそれもある. そこで漢方エキス剤を用い, 一応満足すべき状態を得ている. 今回夜泣きには甘麦大棗湯・抑肝散を, 興奮・暴力のある女児に加味逍遥散を用いた. 障害児の随証療法は正しく行うことが困難なので, 方剤の構成生薬の薬理作用と, 先人の経験の踏襲で方剤を選択したが, 投与に難渋することなく, 副作用もみられず, 一応の成果がえられた. 漢方の特性を生かせる分野として今後も広く活用されるべきものとおもわれるので報告した.

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