1990 年 44 巻 2 号 p. 167-172
HBe抗体持続陽性B型慢性肝炎2例に対してβ-インターフエロン療法を試みた. 症例は44才と49才の男性であり, 血清中のHBs抗原陽性, HBe抗原陰性, HBe抗体陽性であつたが, DNAP, HBV DNAは陽性であり, β-インターフエロン療法前の肝生検では慢性活動性肝炎を示した. β-インターフエロン療法開始後, いずれの症例でも血清トランスアミナーゼ値は低下する傾向を示し, また血清中のDNAP, HBV DNAも陰性化した. 以上のことよりHBe抗体持続陽性B型慢性肝炎に対するβ-インターフエロン療法は有効であると考えられたが, 1例ではβ-インターフエロン療法終了後, 血清トランスアミナーゼ値が再上昇し, 血清中のDNAP, HBV DNAも一時的に陽性化した. したがつて, これらの症例に対するインターフエロン療法効果の永続性については今後の追跡が必要であり, またその投与方法についても検討の必要性が示唆された.