医療
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44 巻, 2 号
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  • 宮地 隆興, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 97-105
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    グロビン遺伝子の欠損や塩基配列の異常は, 転写や翻訳の停止, mRNAの不安定や成熟異常を生じ, サラセミア症候群を, 遺伝子の融合エクソン部の異常の一部はサラセミア様ヘモグロビン異常症を, mRNAからグロビンを合成するが4個のグロビンの会合前に崩壊したり, 会合後ただちに崩壊する超不安定ヘモグロビンを, そしてヘモグロビンを産生した後赤血球中で, 不安定性, 溶解度の減少, メトヘモグロビン形成, 酸素親和性の異常を示す異常ヘモグロビン症を現す一連の相互関係を述べるとともに, これらのヘモグロビン異常症の病態や臨床的特徴について言及した. このように今まで全く異質のものと考えられていたサラセミア症候群と異常ヘモグロビンとは, 遺伝子の異常に基づく同質のものであることが明らかとなつた. このようにヘモグロビン異常症は, 遺伝子の異常を原因とする疾患の典型である.
  • 朔 元則, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 106-110
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1979年より1988年までの10年間に国立福岡中央病院にて手術を施行した大腸癌イレウス症例60例に対して検討を加えた.
    主癌占拠部位別にイレウス発症の頻度をみると, S状結腸癌が26例と最も多かつたが, 全手術症例に対する比率でみると, 結腸の部位間には有意差はなかつた. しかし直腸癌では絶対数, 比率ともに著明に低かつた.
    イレウス例60例と非イレウス例436例を比較すると, 切除率, 治癒切除率ともにイレウス例で低く, また治癒切除術が可能であつた症例でもその予後はイレウス例で不良であつた. 切除例の病理学的検索では, イレウス例では組織分化度が低い上に静脈侵襲, リンパ管侵襲の程度が高度であつた. 左側結腸癌によるイレウスでは従来二期分割手術が多かつたが, 最近はIVHとイレウスチユーブの活用により安全に一期手術が行えるようになつた.
  • 伴 信太郎, 後藤 嘉樹, 新井 勲, 森 正孝, 木下 研一郎, 一瀬 允, 筬島 正之, 松尾 俊明
    1990 年 44 巻 2 号 p. 111-119
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    latex agglutination testで糞便中のClostridium difficile毒素陽性例17例の臨床的検討を行つた. 平均年令は65.3才で, 1例の健常成人男性を除いて, 原疾患はいずれも重症であつた. 2例を除いて抗生物質使用中に発生しており, 2例は中止後4日, 20日目にそれぞれ発症がみられた. 臨床症状では, 食思不振が先行し, 続いて特徴的な悪臭の強い水様性下痢が起こつてくることが多い. また1例には血便をみた. 熱型は, 微熱にときどき38℃以上の高熱が混じる. 腹痛, 悪心, 嘔吐は目立たない. 検査所見では, 好中球増多, CRP, ムコ蛋白の感度が高く, 白血球増多, 血沈充進の感度は低い. また86%の例で低Alb血症を呈した. 治療はバンコマイシン, メトロニダゾールが著効を呈したが, 38%に再発がみられ, その5例中4例は治療後の抗生物質の使用はないにもかかわらず再発した. 再々発も1例みられた. 治療が遅れた例では, 急速に栄養失調状態が進行していた.
  • 馬場 尚道, 草場 英介, 松尾 和彦, 山内 秀人, 柴田 隆一郎, 渡辺 良子
    1990 年 44 巻 2 号 p. 120-124
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和44~52年間に施行された小児開心術症例に現在の日常生活でのquality of lifeに関するアンケート調査を行い, 130例(83%)から回答を得た.
    1.130人の回答を右心系圧負荷群25例, 右心系量負荷群44例, 左心系負荷群61例の3群に分け, quality of lifeの分析を試みた.
    2. 全身状態, 自覚症状, 就職, 結婚生活などで患者がほぼ満足している結果を得たが, 自覚症状や, 運動制限は重症度の高いTOFなどの右心系圧負荷群に多くみられた.
    3. 術後10年以上経過し, 思春期に達した女性患者には手術創への関心が強く, 過半数以上が傷跡が気になると回答した. 心臓外科医は手術創への配慮とケロイド予防対策に強い関心をもつべきことを痛感した.
  • 高橋 慎一郎, 園部 真, 甲州 啓二, 藤井 康伸, 林 央周, 野村 耕章
    1990 年 44 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1985年1月から1988年3月までに経験した原発性橋出血32例を対象に, CT上の血腫のtypeとoutcomeとの相関及びstereotactic surgeryの適応について検討した. 男23例, 女9例であり, 年令は34才から85才まで平均55.4才である. 橋出血のCT所見は(1)massive type(13例), (2)basistegmentum type(7例), (3)tegmentum type(12例)に分類した. outcomeはADLで判定した. massive type 13例は全例死亡である. basis tegmentum typeはbilatの5例は2例が死亡, 3例がvegetative, unilatの2例は1例がADL III, 1例が唯一の手術症例であるが結局死亡している. tegmentum typeはADL Iが5例, ADL IIIが4例, ADL IIIが2例ときわめて良好である. これらの結果から, 原発性橋出血はmassive typeの最重症例から社会復帰をみたtegmentum type(12例中5例)の軽症例までさまざまであるが, その手術適応に関しては否定的な見解をとらざるを得なかつた.
  • 長谷川 昌弘, 平山 雅浩, 宇田 靖, 稲持 英樹, 多喜 紀雄, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 130-135
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    新生児の中枢神経障害の診断, 程度, 予後を推測するため, 髄液NSE, 髄液LDH, 髄液CPK, 血清CPK, 血清CPK-BBについて検討した. 頭蓋内出血, 新生児仮死, けいれん, 髄膜炎などの中枢神経障害全体で検討してみると, これらのマーカーすべてが, 正常群と比較し有意に高値を示した. 個々の疾患について検討してみると, 頭蓋内出血では髄液NSE, 髄液LDH, 血清CPKが, 新生児仮死では髄液LDHが, けいれんでは髄液LDH, 血清CPKが正常群と比較し有意に高値を示していた. 予後との関連では, 髄液NSE, 髄液LDHにおいて脳性まひ群は正常群と比較し有意に高値を示し, 精神発達遅延群では有意差は認めなかつたが, 正常群と比較し高値であつた.
    以上より, 髄液NSE, 髄液LDHは新生児中枢神経障害の診断や予後判定に非常に有効なマーカーと考えられる.
  • 柴崎 啓一, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 136-142
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    7例の外傷後脊髄空洞症の経験をもとに本疾患の概要を紹介し, 併せてその病因及び治療法について文献的な考察を行つた.
    7症例の内訳は男性4例, 女性3例であり, 損傷から発症までの経過期間は1.5年から22年であつた. 不全脊髄損傷例が5例と多く, 合併脊椎損傷では脱臼あるいは脱臼骨折はなかつた. くしやみあるいは怒責を契機とした発症例が3例あり, 全例に解離性知覚障害と運動障害が麻痺域上部及び上肢帯に主として片側性に認められた. 診断にはdelayed CTM及びMRIが有用であつたが, 中でもMRIは空洞の存在確認並びに手術高位の決定だけでなく, 術後効果の判定にもきわめて有効であつた.
    本疾患の発症には脊髄損傷部における部分的髄膜癒着に伴う髄液還流障害が関与すると考え, 治療法は空洞内除圧と髄液循環改善を目的として損傷部を中心とした頭・尾側2方向へのクモ膜下腔シヤント術を選択した. 術後成績はきわめて良好であつた.
  • 武田 武夫, 西 基, 畑江 芳郎, 中舘 尚也, 畑山 由起子, 島田 昌子
    1990 年 44 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    札幌市における乳児尿についての神経芽細胞腫マス・スクリーニングは1981年以来7年を経過し, この間22例発見治療し, 発見頻度は約5, 500人に1人とほぽ変わりなかつた. 病期は早いものが約80%を占めていたが, スクリーニング開始の前後で4才以下の総数は変わらずスクリーニングの効果があつたと考えられた. N-myc増幅は調べえたすべてでみられなかつたが, 核型はいろいろであり, 腫瘍の進展度も種々で, 発見された腫瘍が多様性に富んだ集団であることをおもわせた.
  • 岩井 艶子, 岩井 朝幸, 古川 正強, 曽根 美智子, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    近年開発された細胞分裂前期あるいは前中期核板での高精度分染法は, 従来の分染法の数倍の解像力があり, 微細な染色体異常を同定することができる. 最近, 高精度分染法を用いてPrader-Willi症候群(PWS)と15番染色体長腕部分欠失の関係が明らかにされつつある. 今回, われわれはPWSの確定例および疑診例について高精度分染法を用いて15番染色体長腕部分欠失の有無を検討したので報告する. 結果は, PWSと確定した2例およびPWSが疑われる乳児3例のすべてに15q 11.2の欠失を認めた. PWSにおいて15q 11.2の欠失が高頻度に認められることは, PWSの病因の一つとして染色体異常が関与していることを強く示唆するものと考える. また, 染色体分析により, PWSの確定診断が新生児期あるいは乳児期早期より可能となり, その後に出現する肥満や糖尿病の予防に役立つとおもわれる.
  • 高木 洲一郎, 成田 洋夫, 畠山 秀丸, 女屋 光基, 伊藤 洸, 今坂 康志, 長谷川 祥子, 宮田 正子
    1990 年 44 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    (1) 昭和60年までの14年間に慶大精神神経科を初診した摂食障害患者数の年度別推移をみると, 本症は年々増加傾向にあり, 14年間で約9倍に増加した. また全初診患者中に占める割合はこの間に0.2%から2.6%まで増加した. (2) 昭和60年に同科を初診した女性患者中に占める本症患者の割合は, 本症の好発年令帯である15才~24才の女性では, 女性初診患者の12.5%と極めて大きな比率を占めていた. また本症は若い女性に圧倒的に多いが, 15才~24才で77.4%までを占めていた. (3) 昭和60年1月に開設した慶大摂食障害専門外来では, 3年間で114例に上る症例を扱つた. 本外来に対するニードは非常に高い. (4) 昭和61年2月から1年間に東二精神科で扱つた摂食障害54例の内訳は, 神経性食欲不振症24例, 過食症30例で, 過食症が神経性食欲不振症を上回つた. 入院必要例は, 神経性食欲不振症では全体の6割弱に及ぶが, 過食症でば3割以下と, 大きな差がみられた.
  • 中村 豊, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 159-162
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    神経症症状とくに強迫, 退避あるいは抑うつ感情などをともなう適応障害は, 社会的要因にも助長されて増加し, それは若年令層のみでなく, 中・高年令層にまで及んでいる. その背後には, 親と子の和解の未解消が多くみられ, 事例に示した適応障害のほかにも, 精神科諸疾患一般に多かれ少なかれかかわりをもつている. 和解の問題は従来から論議の集積は多いが, 今日, ことに強く再考が求められている.
    本稿では事例をあげ, これにかかわる問題の検討を行い, また, 近年の関連諸領域, 言語学, 人類学, 精神病理学などのもたらした示唆にもとづき, 和解とそれに伴う苦渋や犠牲について, 遡って原型を求め, さらに, 和解の意義を若干異なつた視点から考察し問題の提起を行つた.
  • 野口 俊彦, 金丸 哲山, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    右手第3指のみに発症したBuerger病を経験した. 症例は60才, 男性. 職業, 船大工. 喫煙, 1日60本. 30年間. 初診約3カ月前より右第3指, 指尖に疼痛あり. 1カ月前, ガラス片が刺さり, 破片除去するも軽快せず, 当科受診となる. 初診時, 右第3指指尖に, 安静時拍動性の疼痛を伴う米粒大の血痂を認め, その周囲に, 暗赤色浮腫性の腫脹がみられた. 触診にて, 右尺骨動脈の拍動は触知できなかつた. 動脈造影にても, 右尺骨動脈は造影されず, Buerger病と診断した. プロスタグランデインE1持続点滴療法, 局所には軟膏塗布を行いデブリードマンを頻回に施行したところ, 徐々に軽快した.
    Buerger病の潰瘍の発生部位は, 最近の報告では約80%を下肢が占め, 本例のごとく上肢では比較的少ない. 本例は, プロスタグランデインE1持続点滴療法により軽快し得たが, 再発増悪時には, 外科的治療法も考慮して, 経過を追つていきたいと考えている.
  • 竹嫡 英一, 村上 信三, 前田 祐一, 福田 和人, 香川 和徳, 大森 仁也, 山根 哲実, 片山 正一
    1990 年 44 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    HBe抗体持続陽性B型慢性肝炎2例に対してβ-インターフエロン療法を試みた. 症例は44才と49才の男性であり, 血清中のHBs抗原陽性, HBe抗原陰性, HBe抗体陽性であつたが, DNAP, HBV DNAは陽性であり, β-インターフエロン療法前の肝生検では慢性活動性肝炎を示した. β-インターフエロン療法開始後, いずれの症例でも血清トランスアミナーゼ値は低下する傾向を示し, また血清中のDNAP, HBV DNAも陰性化した. 以上のことよりHBe抗体持続陽性B型慢性肝炎に対するβ-インターフエロン療法は有効であると考えられたが, 1例ではβ-インターフエロン療法終了後, 血清トランスアミナーゼ値が再上昇し, 血清中のDNAP, HBV DNAも一時的に陽性化した. したがつて, これらの症例に対するインターフエロン療法効果の永続性については今後の追跡が必要であり, またその投与方法についても検討の必要性が示唆された.
  • 青木 佳壽子, 宮崎 悦子, 木戸 友幸, 畑 直成, 羽間 収治, 藤田 周一郎, 倉田 明彦
    1990 年 44 巻 2 号 p. 173-177
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例: 74才男性, 1983年より高血圧症, 虚血性心疾患, 肺気腫などで当内科にて経過観察中の患者で, 当初より肝管, 総胆管の拡張あり, 胆嚢腫大も認められた. 1986年には糖尿病発症(NIDDM)をみた. 1987年6月10日ころより執ような下痢が起こり, 7月9日精査治療目的で入院す. 体重9kg減少し, 黄疸(-), 肝鎖骨中線上3横指触知, Courvoisier徴候(+), アミラーゼ414U/L(P: 368, S: 45), CEA: 9.1, CA-19-9:32U/ml, 7月22日ERCP; 膵胆管合流異常, 8月末黄疸出現, PTCD施行, 造影にて完全閉塞を認む. 腹部血管造影施行, 胃十二指腸, 胃腸間膜動脈への浸潤像あり. 静脈リンパ系への浸潤も当然あると考えられ, そのための下痢と判明す. PTCD胆汁細胞診にて乳頭状腺癌検出をみ, 頻度及び造影所見より総胆管癌を疑つた. 2月26日死亡す. 剖検にて中等度分化型膵頭部管状腺癌で, 膵周囲, 総胆管, 肝外胆管及び周囲リンパ節, 胆嚢, 上, 下腸間膜動静脈, 門脈に浸潤転移を認めた.
  • 山田 寛保, 田代 研児, 吉田 尊久, 筒井 康子, 牟田 耕一郎, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 178-181
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は38才の女性で, 来院2日前に無痛性の右乳のしこりに気づいた. 診察にて右乳上外側に径約5cmの可動性のある卵型の硬い腫瘤を認めた. 乳房撮影と超音波検査では卵型のくびれのある平滑な腫瘤陰影で, 通常の乳癌の所見とは異なつていた. 針生検でリンパ肉腫が疑われた. ガリウムシンチで腫瘤部のみに高い集積がみられ, 血液理化学検査ではLDHが軽度上昇していた. 手術はPatey式乳房切断術を行い, 摘出リンパ節は組織的に転移はなかつた. 病期検索は胸写, 全身CT, 骨シンチ, 肝超音波, 骨髄穿刺, 消化管造影, 耳鼻科的検査を行いすべてに異常を認めなかつた. 術後は, epi-VEPA療法(epi-ADM 50mg, CPA 500mg, VCR 1 mg, PDN 40mg 4日間)を1カ月に3回, その後外来にて月1回を6回施行した. 症例は術後1年半の現在健在である. 乳腺リンパ腫の診断上の留意点と, この症例の予後について考察した.
  • 石倉 彰, 池田 正人, 大日方 千春, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 182-185
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    小児側脳室内髄膜腫の1例を報告した. 症例は14才少女で, 痙攣発作を初発症状とした. 入院時, 右の軽度不全片麻痺と緩徐言語がみられた. CTスキヤンやMRIにて左側脳室三角部に均一に造影される腫瘍像をみ, 脳血管写で, 前・後脈絡叢動脈の拡大増生と偏位を認めた. 左中側頭回経由で脳腫瘍全摘出術を施行した. 組織診断はmeningothelial typeの髄膜腫であつた. 術後経過は良好で, 半盲は出現せず, 右不全片麻痺や緩徐言語の改善がみられた. 側脳室内髄膜腫はまれで, 全髄膜腫の1~2%にすぎない. 14才以下の小児に限るとさらにその頻度は少なくなる. 腫瘍は側脳室内に存在するため症状の出現が遅く, かなり大きくなつて初めて診断されるのが一般的である. しかし, 今日, CTスキヤンやCUSAなど医療器械の進歩で早期診断, 早期治療が可能となつた. 側脳室内髄膜腫について文献的考察を加えた.
  • 徳永 隆司, 武内 重二, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 186-188
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    4例の痙性斜頸の患者に手術療法をおこなつた. 全例において, C1C2レベルでの副神経根に対する血管圧迫は認められなかつた. 手術内容はC1レベルでの副神経切断を2例に, C1レベルおよび頸静脈孔レベルでの副神経切断を1例に, 頸静脈孔レベルでの副神経切断を1例におこなつた. 術後全例で症状の軽快をみたが, 痙性運動のない1例を除き, 3例では患者の満足度は充分ではなかつた.
  • 木戸 晃, 御厨 裕治, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 189-192
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    近年, 特発性上部尿路出血の原因の一つとして腎静脈の還流異常が指摘されるようになつてきた. そこで, 著者らは特発性上部尿路出血の原因の検索を目的として, 13例の患者に対しECHOを中心とした画像診断を試み, 腎静脈の観察を行つた. また原因不明の顕微鏡的血尿患者17例に対しても同様の検索を行つた. 特発性上部尿路出血患者では, 8例にnutcracker現象を疑わせる左腎静脈の拡張を認め, 1例に腎静脈奇形の一つである大動脈後左腎静脈を認めた. 顕微鏡的血尿患者では13例に左腎静脈の拡張を認めた. 以上の結果から, 血尿患者の中にはかなりの高率に腎静脈の拡張症例が認められることが示唆された . ECHOは日常診療において簡便な検査法であり, 患者に対する負担も少なく, CTに比べ切断面を自由に選べることから, 血尿患者の検索に極めて有用である.
  • 2.黄疸―黄疸は肝障害への危険なオウダン歩道―
    安部 明郎, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 193-196
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 第130回関信地区国立病院・療養所薬学集談会, 第417回千葉県下国立病院療養所定例連合研究会
    朔 元則, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 2 号 p. 197-198
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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