医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
心臓弁膜症の外科
伊東 政敏矢加部 茂竹尾 貞徳前川 宗一郎吉田 康洋池尻 公二
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 44 巻 8 号 p. 763-769

詳細
抄録

心臓弁膜症の病因の変遷及び外科療法の役割とその発展について概説した. 病因ではリウマチ性が30年前の5分の1に減少し, 非リウマチ性が増加し病因は多様化した. 弁膜症の外科治療は近年カルディオプレディアによる心筋保護の導入や新しい人工弁の開発などにより手術成績は改善をみている. 代表的施設の現在の手術死亡率はOMC 0~1%, MAP 2%, MVR 2~7%, AVR 5%以下, AVR+MVR 4~10%, 三弁置換14%である. 遠隔成績ではOMCの8年生存率88%, MAP, MVR, AVR, 二弁置換の5年生存率はそれぞれ76%, 72%, 85%, 70%と良好である. 代用弁別では機械弁は耐久性にすぐれ生体弁は血栓塞栓が少ない. 弁荒廃以前での早期発見・保存的治療体系の整備と合併症のない理想的代用弁の開発が望まれる.

著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
次の記事
feedback
Top