医療
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門脈合併膵切除症例の検討
鈴木 夏生堀澤 増雅北村 司嶋地 崇吉田 康洋池尻 公二
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1990 年 44 巻 8 号 p. 770-774

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抄録

1985年10月より1989年9月までの4年間に, 膵頭十二指腸切除(PD)28例, 膵全摘(TP)4例を経験し, 門脈カテーテルバイパス下で門脈合併切除をそれぞれ10例(35.7%)及び1例(25.0%)に併施した. 門脈合併PDのうち9例は膵頭部癌で, 1例は膵炎であり, 門脈合併TPの1例は粘液産生膵癌で, 年令は50才から73才, 平均60.9才, 男6例, 女5例であつた. 平均門脈バイパス時間は2時間34分で, 門脈の全周切除が9例, 側壁切除(部分切除)が2例であつた. 再建法は1例がPD-Iであつた以外すべてPD-III(今永法)あるいはTP一IIIであつた. 門脈合併切除例では非合併切除例と比べて手術時間は長く, 出血量は多くなる傾向がみとめられた. PDの1例を残胃壊死のため術後4日目に失つたが, 他に術死, 入院死はみとめなかつた. 術後平均生存期間は11.0ヵ月で, 最長は25カ月であつた.

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