医療
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高令者における破裂脳動脈瘤治療の問題点
高橋 慎一郎園部 真甲州 啓二杉田 京一藤井 康伸林 央周野村 耕章
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1990 年 44 巻 8 号 p. 775-778

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抄録

当科にて経験した破裂脳動脈瘤患者476例を年令別に分け, その治療成績の差を比較検討した. 70才以上をAグループ(52例), 65~69才以上をBグループ(40例), 64才以下をCグループ(384例)と分類した. 手術成績は, good resultがA39.3%, B72%, C78%であり, 手術死亡率はA25%, B12%, C11.6%, とAはBCに比較して有意にその治療成績が悪かつた. 手術群におけるmedical complicationの頻度はA25%, B8%, C8.5%であり, またsymptomatic vasospasmの発生率には3群に差がなかつたが, spasmをきたしたAはすべてdead, poorに対しB, Cはその1/4がgood resultに回復した. overall resultではgoodはA25%, B45%, C62.8%であり, 死亡はA51.9%, B45%, C25.8%であつた. 以上の結果より破裂脳動脈瘤の外科治療の適応を決定する場合70才以上の高令者を1つのcriticalpointにおくことが適当とおもわれた.

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