医療
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乳癌手術における有茎大網移植術の有用性
赤木 謙三岡村 泰彦高塚 雄一河原 勉吉田 康洋池尻 公二
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1990 年 44 巻 8 号 p. 790-793

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抄録

乳癌術後・胸壁放射線潰瘍及び局所進行乳癌手術時の広範な皮膚欠損部に対して, 有茎大網移植後にmesh skin graftによる再建を行い, 良好な結果を得たので報告する. 胸壁放射線潰瘍1例, 原発進行乳癌6例を対象とした. 放射線潰瘍症例は骨壊死による難治性の瘻孔及び広範な放射線皮膚炎を, 乳癌症例6例中3例は腫瘍の自壊による感染を伴つていた. 開腹に伴う合併症はなく, 全例術後上肢の浮腫や運動障害は軽度で, 感染もなくquality of lifeの改善が得られた.
以上のように大網移植は, 特に感染合併症例や広範な皮膚切除後の植皮の母床として最適と考えられた.

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