医療
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IgD(λ)型骨髄腫治療中に発症した急性腎不全の1例
則井 崇深井 待子瀬崎 達雄長田 高寿武本 和義小田 三明村上 元正
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1990 年 44 巻 8 号 p. 827-830

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抄録

症例は43才の男性, 3カ月前より腰背部痛があり骨髄腫を疑われて転院してきた. 検査はHb9.3g/dl, 骨髄で形質細胞52.5%(immature type), CRE1.0mg/dl, Ca 9.4mg/dl, M-蛋白28.8%(2.38g/dl), IgD(λ)型, IgD 3600mg/dl, B-J蛋白(λ), X線像は頭蓋骨にpunched-out lesion (+), 骨シンチグラムは頭蓋骨, 胸骨, 腰椎, 肋骨にhot spot (+), IgD(λ)型骨髄腫type Cと診断された. 天然型interferon-α製剤(HLBI)で治療開始, その直後より筋肉痛, 腰痛が増悪, 急性腎不全発症, 血液透析を実施, 離脱した. 形質細胞の減少, M蛋白の消失, IgDは激減, 自覚症状の改善をみた. IgD(λ)型骨髄腫にHLBIが著効を示した症例を経験した. しかしHLBIの副作用とおもわれる高尿酸血症による急性腎不全を来した. 今後その投与方法と治療効果, 特に未治療例のIgD型骨髄腫について検討する上で貴重な症例と考え報告した.

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