医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
泌尿器科以外の疾患に起因する排尿障害について
国立病院共同研究排尿障害患者の尿路管理に関する研究矢加部 茂竹尾 貞徳前川 宗一郎吉田 康洋池尻 公二
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 44 巻 9 号 p. 917-922

詳細
抄録

高令化社会となり泌尿器科疾患はもとより泌尿器科以外の疾患による排尿障害患者は増加している. これらの患者は泌尿器科的治療がされず, 往々にして放置されがちである.
国立病院6施設による共同研究“泌尿器科以外の疾患に起因する排尿障害”にかんする実態調査とその分析を行つたので報告する.
排尿障害の原因となる疾患は脳血管障害, 脊髄疾患, 骨盤内手術後, 糖尿病が多かつた.
症状は排尿困難, 尿閉, 尿失禁が多かつた.
膀胱内圧試験では, 脳障害では無抑制が多く, その他では運動麻痺性が多かつた. これらの患者の尿路感染の併発はごく少なかつた.
泌尿器科的諸検査により治療方針を立て, 適切な投薬と排尿訓練により, 多くの患者がカテーテルフリーとなつた.
以上より, 泌尿器科以外の排尿障害患者も視点をむけ, 綿密なる泌尿器科的検査と適切なる治療を行うことにより, 自然排尿にもつていくべきことを主張した.

著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top