抄録
妊婦におけるB群溶血性連鎖球菌(GBS)の保菌とその対策および新生児への移行率について検討を加えた. 妊娠32~36週の妊婦GBsの保菌率は2360例中114例4.8%で, 検出されたGBSはペニシリン系抗生剤に対しいずれも高感受性であった. 菌の消失率は腟洗浄(ポピドンヨード液, 7日間)のみでは25%, 経口抗生剤のみ(AMPCまたはIPABPC, 1000mg/日, 7日間)では93%, 両者の併用では87%と抗生剤投与を行った群で高率であった. 児への伝播率は治療により消失が確認できた例で23%, 陽性持続例では63%, 一度陰性化した後, 再陽性化した例で53%, 再陽性化の後, 再び陰性となった例では0%であった. 血清型分類では, Ia型28%, Ib型22%, II型18%, III型9%, V型4%, IV型3%であった. 以上より妊婦GBSスクリーニングの必要性と新生児への移行防止にペニシリン系抗生剤経口投与の有効性が示唆された.